フィルムカメラ

いま、どのくらい「フィルムカメラの時代」なのかな。

アフィリエイト広告を利用しています
Nikon F6

そういえば先日からTwitter上で「ついにニコン最後のフィルムカメラ Nikon F6がディスコンらしい」というつぶやきをいくつも見た。情報元はどうやら欧州でF6が現行ラインナップから外れるということらしく、日本も近々そうなるのではということらしい。憶測の域は出ないんだけど、世はミラーレスへと移行するような時代だから、F6がいつ販売終了になってもおかしくないだろう。

そんななか、僕は手放していたF6を最近再び買い戻したところ。まあ時代に逆行していることの証明みたいになっちゃってるけど笑、キヤノンに続きニコンまで現行ラインナップからフィルムカメラが消えることが、果たしてフィルムカメラの終焉を意味するのか?というと、それはやはりちょっと待てよ、ということになる。

というのも、僕は実は最近、意識してTwitterのポストにも「#film」とか「#フィルムカメラ」をタグ付けして、それとなくタグ検索なんかもしながら、フィルムとフィルムカメラの人気の傾向みたいなのを探ってきた。そうして思うのは、やはり「いま、フィルムとフィルムカメラは来てるぞ」ということだった。

OLYMPUS OM-1N

もちろん、新品のフィルムカメラが売れてるわけじゃないけど、写ルンですタイプのカメラを初めて使ってみましたとか、おじいちゃんやおばあちゃんから受け継いだフィルムカメラで初めて現像に出してみたとか、あと「フィルムカメラ欲しいな」なんていうツイートが日々けっこうな数ポストされてるんだ。感覚的には、ちょっと驚く頻度といっていいんじゃないかと思う。大ブームではないけど、着実に「世間の普通の一つ」に根付いていってる、そんな感覚。

そのブームじゃない感じはとても良いことだとも思ってる。急激すぎるブームとは飽きられた時の反動も大きいからね。そうした一時的な流行よりは、着実に世の中にジワジワと広がるほうが強いし、濃い。いまのフィルムとフィルムカメラへのニーズは、かなり本気な気がするんだ。どうだろう。

それと、そんなツイートたちを見てると、圧倒的に若い人たちがフィルムとフィルムカメラに関心を示しているのもとてもいいと思う。よく聞く「エモい!」という言葉がたくさん聞かれるのも特徴で、それはつまり単にノスタルジックだからという理由というよりは、できあがる写真のトーンが表現として受け入れられていることだと思っていて、エモい表現というのは一過性のブームなんかとは少し異なる受け入れられ方だと感じるんだよね。

OLYMPUS XA2

もっといえば、カメラはなんだっていい。撮れるエモい写真がたいせつで愛おしいからフィルムで撮りたい!という、なんか「スマホでは撮れない写真を楽しみたい」という嗜好が、結果的に「カメラで撮ることの楽しさ」につながってるんだよね。これってまさにフィルム時代の写真とカメラの関係性だと思っていて。当時だって世の中のみんながカメラ好きだったわけじゃなくて、写真を撮るにはフィルムカメラで撮るしかなかったから、カメラは特別なモノというより「普通のモノ」だった。それにちょっと近づいてるんじゃないかってね。

僕なんかは道具好きでカメラ好きだから、何台もカメラを持ってるし、決して安くないカメラもあるけど、エモい写真を撮ることが目的ならカメラなんてほんと何でも良いと思ってる。安ければ安いほどいいし、オートフォーカスのフィルムコンパクト機なら数千円で手に入るから、壊れることなんか気にせずにガンガン日々をエモく記憶していけばいいと思ってる。むしろ、そのほうがクールだとさえ思う。

フィルムで撮ることはたしかにコストはかかるけど、フィルムカメラ自体を数千円で手に入れれば、デジカメを購入するよりもずっと手軽だし、現像代やデータ化代を入れても趣味の範囲に収まる金額で楽しめるんじゃないかとも言える。それでいて、趣味という一瞬の歓びにとどまらず、おそらく数十年後に見返したら感慨深くてたまらないエモい写真たちまで手元に残るのだから、これはある意味画期的なことでさえある。

Nikon FE

ひとつ注意することがあるとするなら、できれば信頼のおける中古カメラ屋さんで購入したほうがいいということ。やはり古い機械であることは間違い無いから、プロの目で吟味された商品のほうが断然安心。買ったそばから壊れてたとなるとそのショックは大きいし、フィルムカメラに対する不安とかトラウマにもなっちゃうしね。きっちりプロが見定めたフィルムカメラなら、そう簡単に壊れるモノじゃないし、たぶんあと10年、20年は使えるんじゃないかと僕なんかは感じてる。

少しお金を足して、1万円から2万円程度の一眼レフ機なんかだと、それこそ電池を使わない機械式カメラなら、あと半世紀とかだって使えるんじゃないかとさえ思う。デジカメではちょっと無理な世界だからね。その意味でも、頻繁に買い替えが必要なデジカメに比べたら、フィルムカメラは消耗品というよりも人生のパートナーとして付き合っていける歓びもある。僕がフィルムカメラを推すのは、そういう人生との寄り添いという意味が大きいんだ。

そうそう、一時は少し高騰していたKodak Gold200が今朝アマゾンでずいぶんお安くもなっていた。モノの値段は需要と供給のバランスだから、やはりフィルムとフィルムカメラ人気がまたジワジワと拡大しているのかもしれないね。

Contax RX

もちろん、フィルムとフィルムカメラを楽しむには月に数千円から1万円程度はかかっちゃうかもしれないけど、エモい想い出を残すなんて尊い行為はプライスレスだから。ぜひぜひこの機会に、中古カメラ店をのぞいて、新しい一歩を踏み出してみてはどうだろう。決して大袈裟ではなく、人生観が変わるような感慨深さに浸れると思うけどなあ、本当に。

追記)そうそう、フィルムカメラと過ごす日常の素晴らしさが読み取れる柊サナカさんの本「谷中レトロカメラ店の謎日和」の第3巻も先日ついに発売されたから、第1巻、第2巻と合わせてぜひ読んでみてはどうだろう。登場するクラシックなカメラたちを検索しながら読むと楽しいよ。

関連記事