フィルムカメラ

好きなことをずっとやめない、というチカラ。

Nikon Df, Nikon F

これは以前にも少し書いたかな。忘れちゃったんでもう一度書こう。二ヶ月ほど前かな、尊敬する職場の大先輩が定年で卒業されてね、その最後の晩に食事を共にした。話の大半はお互いの共通項である仕事がらみのことになるわけだけど、話の終盤かな、先輩が僕らに「大事にしてほしいこと」として語ってくれたのがそのことだったんだ。

「好きなことはやめないで、ずっと続けたほうがいい」

その先輩は仕事一筋で数十年やってきて、好きな仕事だったし後悔はまったく無いんだけど、少々仕事漬けになり過ぎて、じぶんが若い頃に好きだった「音楽を楽しむ」ということを忘れてしまってここまで来ちゃったことが、今思うとちょっぴり残念かなと。だから、君たちには仕事も頑張ってほしいけど、趣味とか好きなことも人生の中でめいっぱい頑張ってほしいと、最後に語ってくれたんだよね。

その先輩は、例えば僕ならカメラという趣味があることを知ってたから、それを例に出して「うらやましいし、ずっとそのカメラという趣味を大事にしてほしい」と言われてね。今まで、このクラシカルなカメラという趣味を「沼的なネタ」としてイジられるようなことはあっても、こんなに真顔でその趣味を称賛してもらったことなどなかったから、少し驚いたし、なんかハッとしたんだよね。

「そうか、他人から見たら、このクラシカルなカメラにのめり込んでる姿というのは、意外とうらやましく見えたりもするんだ」

とね。たしかに、僕の人生も長らく仕事漬けで、若い頃は「仕事が趣味」なんてちょっと息巻いてるじぶんがいたけど、数年前にカメラに出会って、控えめに言ってもそれ以降の人生のほうが濃く、豊かな気がするんだ。しかも、そのオフの充実が、オンである仕事にもとても好影響を与えてる気さえする。いや、間違いなく、オンとオフは切り離されるものじゃなくて、ドライブをかけ合うものだと今は確信してる。

だとしたらね、好きなものはでっきるだけ若い頃に見つけたほうがいいし、若い頃に出会えた好きなことは、以降の人生の中でずっとやめずに続けたほうがいいと思うんだ。人生は若い頃に考えてるものより、ずっと足早に駆け巡ってゆく。子供の頃に永遠に思えた人生は、意外と短く、はかないものでもあるんだ。だから、できるだけ濃く太く生きたほうがいい。「人生は一回きり」、当たり前に聞く言葉だけど、この言葉の意味は重いなあと最近ほんとうに思うんだ。

ここではカメラの話をしてるけど、それは何だっていい。音楽でもいいし、スポーツでもいいし、アートでもいいし、なにか社会貢献みたいなことでもいい。でも、とにかく「じぶんはこれが死ぬほど好きだ」ということを明確に自覚して、それにただひたすらピュアに向き合って生きていくことが大事だと思うんだ。まあ、それなりにお金もかかったり時間を要したりして、考えようによっては無理を感じることなんかもあったりするわけだけど、それでもちょっと頑張って、その足取りを止めない。ずっと続けるんだ。それが、人生の先輩たちが僕らに言い残そうとしていることだと思う。

そうやってじぶんが仕事を卒業する時に、なんというか、人生をちょっぴり誇りに思い、そんな姿を後輩たちが少しうらやましく思えれば、それはなかなか素晴らしい文化なんじゃないかと思う。だから、僕はいま趣味という時間を挽回してる。ちょっと無理をしてくらいの感じも心地いい。好きなことにのめり込んでるということが、いかに贅沢で幸福な時間なのかということを静かに、でも強く噛みしめながら。

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