きのう手元に届いた新しいカラスコ50だけど、ようやく雨があがったのを見計らい、家の近所を少し試し撮り散歩してみた。結論からいうと、思った通りというか、いやそれ以上にバランスに優れた素晴らしいレンズだった。
この場合のバランスとは、突出したところがなく中庸とか平凡という意味ではない。とにかくどこをとっても絶妙な良さの集合体で、総合的に僕の求めたニーズをすべて満たしている、つまりMVP的な総合バランスの良さという意味である。
小さい、軽い、ミニマルデザインの仕上げ、アルミの質感、そして明るさもキープ。指がかりのいいフォーカシングレバーも明らかに操作しやすい。僕はブラックを選んだけど、深度目盛りのシルバーリングは検討時には真っ黒のほうがいいんじゃないかと思ったけど、実物はアクセントとして効いていてこれもマル。もう本当にいいことづくめなのだ。
あと、このカラスコ50は球面レンズで構成されており、非球面レンズを使っていない。ここも個人的に購入の大きな決め手になったポイントだ。正直、僕の目利き力や写真の腕前的には球面だろうが非球面だろうが、その描写の違いなんか識別できないだろうが、いわゆる昔ながらの球面レンズの作りにはやはり惹かれるのである。
実際に撮ってみると、たしかに開放時のピント部は非球面レンズのように綿密というよりは、どこかマイルドさがある。f2.2というギリギリで絶妙の明るさもあって、そこからのボケも実にナチュラルで気持ちいい。いたずらに誇張しない、目の前の日常そのままに切り取ってくれるような、まさに目のようなレンズだ。
距離計連動式のレンジファインダー機では最短撮影距離は70cmだけど、LVやEVF、ミラーレス機ならさらに50cmまで寄れる。僕は35mmのカラスコのクラシックタイプも使っているが、やはり散歩の時なんかは50mmの距離感がちょうどいいし、M3から始まった僕のライカの視界としては性に合うのだ。
ひとまず試し撮りを始めたばかりなので、まずは開放付近をカラーで撮り始めているが、徐々に絞った感じやモノクロ時の描写も確かめていきたい。というか、まあ初日の時点ですでにいいイメージしかない。感覚的には沈胴ズミクロンで撮っているような落ち着きがあり、それでいてこれだけ小さく軽いのだから。
レンズの嗜好は、人それぞれだから、他の人からすると異なる見解もあるかもだが、僕の中では冒頭に書いた通りMVP級のすぐれた一本だ。おそらく僕のメインレンズである沈胴ズミクロンの立ち位置を二番手に追いやるだろう。でも、もともと沈胴ズミクロンはM3用だから、M型ライカの収まりどころとしてはこれでいい具合に落ち着くのかもしれない。
きのうも書いたけど、僕の中ではこのカラスコ50があがりのレンズだと感じている。このレンズがあれば、M型デジタルをまさにヒラヒラと泳ぐように軽快に持ち歩ける。そして、その合間に往年の沈ズミやエルマー、ズマロンをスパイスとしてM3と行き来して楽しむ。うん、理想であり最高である。
ひと通り試し撮りが落ち着いたら、フジ機やNikon Zf、SIGMA fpなんかにもつけて気分転換してみようと思う。50cmまで寄れる感覚をファインダーの中でも試してみたいからね。
というわけで特段レビューなんかにはなっていないが、まあ個人的な備忘録として新しいカラスコ50の試し撮り1日目のことを書いてみた。僕と同じように、明るさはある程度維持しながら、でも最高に軽量コンパクトな50mmが欲しいという人の参考になれば幸いだ。
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