ところでマイクロフォーサーズってどうなの という問いに対して 僕が思うこと。
マイクロフォーサーズと聞いてどんな印象があるだろうか。僕の拙い知識でも、一般的なコンデジよりは大きなセンサーを積んでるとはいえ、フルサイズはおろかAPS-Cより小さなセンサーサイズでどこか本格的ではないライトなカメラ、という印象がある。いや、正確にはあった。今は全然違うのである、その食わず嫌い的な印象とは。
二週間ほど前に僕が初めて手にしたマイクロフォーサーズ機が、上の写真のOLYMPUS PEN-Fだ。このカメラを手にして以来、僕のカメラの見方は大きく変わろうとしている。見た目やシャッターフィールにまず一目惚れして購入したカメラだけど、当たり前だけど今まで気にも留めていなかった故に僕の前を素通りしていたマイクロフォーサーズ関連の情報が目につくようになる。そうすると、だんだんとこのマイクロフォーサーズというカメラが究極のカメラに思えてくるのだ。
僕はカメラをAPS-C機の一眼レフから始めた。その後、フルサイズの一眼レフへ。そしてレンジファインダーへと進展していったので、各種フィルム機と合わせても、ひと通りカメラの種類を経験してきたアマチュア写真愛好家のひとりだ。自慢できるほどの腕も知識もないが、それでもひと通りカメラの種類を経験してきた僕がたどり着いたのがマイクロフォーサーズだったというのは、多少のカメラ選びの参考意見にはなると思う。
まず、センサーサイズ。その写りの芳醇さというか奥行きや余裕みたいなものでいえば、やはりフルサイズが良いという実感はある。けれど、それは撮るシチュエーションにもよるもので、僕の場合でいえば週末なんかに時間をかけてゆっくり撮りたい時はフルサイズ一眼レフのNikon DfやフルサイズレンジファインダーのLeica M-P typ240を好んで持ち出す。けれど、フルサイズとなるとそれなりにボディも重いし、レンズもフルサイズ用となるとなかなかゴツい。フルサイズ機ゆえに作り込みも良いから当然ファインダーの眺めやシャッター音も気持ちいいんだけど、それは僕にはあくまでゆっくり撮れるシチュエーションで喜ばしいものであって、舞台が平日の仕事鞄の中や街中スナップとなると事情が変わる。
僕はM型デジタルのLeica M-P typ240はフィルムライカでのストリートスナップの延長線上で購入したから、もちろん街中スナップにも持ち出すけど、やはりそれなりに重いのである。これはボディが薄くなった最新のM10でもそれほど変わらない意識だろうと思う。そうしてよりコンパクトなLeica X2を手に入れたりするわけだけど、やはりファインダーやレンズ交換式など本格的仕様のカメラで撮りたいという欲求はどこかある。それでいてできるだけ軽量コンパクトなものがいい。そんな良いとこ取りのムシのいいカメラなんてあるのか?となるわけだけど、それがあったのである。マイクロフォーサーズ機である。
潜在的にはそんな究極のバランスのカメラを求めつつ、マイクロフォーサーズなんて意識していないからすぐにそういうカメラ選びの行動に出たわけではない。毎週、数本のフィルムを現像に出したら受け取ったりするのにカメラ屋を訪れてる際に、ほんとに待ち時間に何気なく触れてみたんだよね、PEN-Fに。特に新品のカメラを買う予定もなかったから、ほんとに時間つぶしに触ってみたのが正直なところなんだけど、シャッターを切ってみた時に「なんだこれ、いいじゃん」とハッとしたのが最初なんだよね。実機のフォルムもよく見るととてもクラシカルかつクールな作り込みで、見れば見るほどとても好みであることに気づく。このPEN-Fがマイクロフォーサーズだと意識したのはその後のことだ。
それから何度か同じようにフィルムの現像出しや受け取りでカメラ屋に立ち寄るたびにPEN-Fを触るようになる。買うまでには至らなかったものの、気になるもんだからネット記事でPEN-Fのことをちょこちょこ検索するようになる。Twitterでも検索してみるんだけど、これがなかなかユーザーも少なく、どこかメジャーではない存在みたいなことも分かってくる。結局、三、四回通ったかな、四回目の朝には購入を決めていたじぶんがいた気がする。そうそう、その日の朝にTwitterで赤城さんにレンズキットのM.Zuiko 12/2の購入の是非を相談したりしてね。あ、今思うと、その少し前にCAMERA fanのTwitterアカウントさんが赤城さんのレビュー付きでPEN-Fのことをツイートしていたのも、僕にPEN-Fを意識させたきっかけのひとつだと思う。
でも、いずれにしても、コンデジでもない、フルサイズでもAPS-Cでもない、軽量コンパクトなんだけど本格的撮影フィールのカメラを僕は探し続けていたんだと思う。そこに偶然の出会いで現れたのがマイクロフォーサーズのPEN-F。そして、手に入れたその日から、僕の中の永遠のカメラ探しがどこかひと息つけた、そんな感覚がしたのである。やっとたどり着けたという安堵感であり、幸福感であり到達感みたいなもの。これは言葉で説明するのはほんと難しくて、できればお店で実機を触ってほしいと思う。そして、あらためてカメラに詳しい店員さんにマイクロフォーサーズ機の魅力を聞いてほしいと思う。
かつてフィルム時代にハーフサイズのコンパクトなカメラを作っていたOLYMPUSが現代に送り出す、フルサイズ機よりもAPS-C機よりもさらにコンパクトなマイクロフォーサーズセンサー搭載機。そして、フィルム時代に米谷さんの尋常じゃないこだわりによって神話化したといってもいいオリジナルPEN FやOM-1、PENシリーズのあの作り込みの凄さが現代に宿る21世紀のOLYMPUS機たち。その迫力は手に持った瞬間に電流が走るように感じられると思う。あとね、マイクロフォーサーズはPanasonicと共用しているのもいい。レンズは2社を中心にたくさん選べるし、なんといってもコンパクトなものばかりでコストも安く抑えられている。街中でスナップを撮る僕にしてみれば、もうすべてが理にかなっているという他ない。シチュエーション次第では圧倒的にこのマイクロフォーサーズはトップに躍り出る実力を持ち備えているのである。
そうやってマイクロフォーサーズに対する興味をきちんと持ち始めると、決して多くはないけどネット上なんかでもマイクロフォーサーズの情報が視界に入ってくるようになる。カメラはみんなが持ってるメジャーなものがいいという人には不向きかもしれないけど、あまり人が持っていなくて、それでいて通好みな高次元の実力の持ち主のカメラが欲しいということであれば、僕はこのマイクロフォーサーズ機でありPEN-Fというカメラを俄然激しくおすすめする。OLYMPUSカメラ80周年を機に打ち出してきた、まさに気合の入り方が違う名機。そう、僕には間違いなくこのPEN-Fは名機であり、マイクロフォーサーズというカメラの印象を派手にひっくり返してくれたとんでもなく秀逸なカメラなのである。
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