ストリートでスナップを撮ることは楽しい。でも、昨日から振り続ける霧雨の舞うなか、Leicaを鞄から取り出して撮影するのはなかなか躊躇するじぶんがいた。さて、どうしたもんだろう。と、その小さなようで意外と大きな問題に、僕の出した答えが、このFUJIFILM X-E2とJupiter-8を迎え入れることだった。
僕にとっては初めてのFUJIFILM機。フィルムをやるようになって、いつも心のどこかで気にしていたカメラ。それをこうして手にしたことも、けっこう嬉しかったりする。いつものカメラ屋でいつもの店員さんと談笑を始め、ラフに使えるコンパクト、しかもオールドレンズで遊べる一台が欲しいことを告げる。
そうして二人でたどり着いたのが、X-E2だ。手頃な値段であること、そしてファインダーがあること、さらに色にこだわるならFUJIFILMだろうと。もともとLumix GM1sを気にしていたんだけど、実物を見るとやはり少し小さすぎる。もう少しカメラらしいものがいいと。X-E2はその点、魅力的に見えた。
持ってみると、驚くほど軽い。金属というよりはプラ材質なのかもしれないけど、それでなくても軽快に撮りたいスナップ、雨の中ではとにかくこの軽さは相当武器になると思った。そして何よりカメラらしい佇まいが、フィルムライクに撮りたい僕のカメラ観にとてもフィットした。
さて、ボディは定まった。レンズはどうするか。これはもうオールドレンズしか思い浮かばなかった。というか、オールドレンズを気軽に楽しみたいからレンズ交換式のミラーレスを一台持っておきたかったのもある。Leicaとの相性も考えるとスクリューマウントのレンズがいいなと瞬間的に思い浮かんだ。
インダスターかジュピターがいいと思った。インダスターは沈胴式があったけど沈胴させないほうがいいなら固定式のものがいい。僕がチョイスしたのはJupiter-8だった。以前、職場のライカ先輩に貸してもらったこともあり、どこか親しみも感じた。アダプターを介して装着してみると、これはもう決まりだった。
あとはフードも考えたけど、見当たらなかったのと、そもそもフレアやゴースト大歓迎のオールドレンズだからプロテクトフィルターを付ければそのままでいいやと。そのほうがコンパクトで平日の鞄の中はもちろん、出張にも持ち出しやすい。そうそう、出張にLeica M-Pを持ち出すのもなかなか危険なものを感じていたから、そういう意味でもMFで楽しめるコンパクトなデジタルが欲しかった。
コンパクトといえば僕の手元にはすでにコンデジのRICOH GRとフィルムコンパクトのKonica C35がある。けれど二台ともほぼシャッターを押すだけで楽といえばそうなんだけど、Leicaでスナップを撮り慣れてきた今の僕にはじぶんの手で操作して撮るMFのコンパクトがいい。しかも、オールドレンズのピントを合わせやすいファインダーがあるコンパクト。そう考えると、このX-E2とJupiter-8の組み合わせはベストだった。
このセットを手に入れたことで、僕の雨の日はもう躊躇せずにスナップできるようになった。購入した直後に夜の雨の街を早速撮ってみて、あっという間に納得できた。そして、何かと荷物がかさばって持ち運びが心配な出張先へも、このセットならキャリーバッグに放り込んでラフに持ち出せる。何か思いつきから始まったボディとレンズ選びだったけど、こうして考えてみるとベストの中のベスト。これもまた必然なのである。またひとつ、スナップが僕を新しい場所へ連れて行ってくれた。