パッと見のデザインこそレトロ調でひとくくりにされそうだが、Nikon ZfとDfは立ち位置も楽しみ方(使い方)もまったく異なるので、このブログでは比較などをするつもりはない。結論から言うとそれぞれ、どちらもいいよ、という話である。
Nikon Zfはいわゆる現代的なミラーレス機でZマウントを採用。一方、Nikon Dfはフィルム時代から不変のFマウントを採用した一眼レフ機。
僕は長らくFマウントを好んでNikon Dfを使い続けているが、最近ようやくNikon Zfの新品在庫と巡り会えたので、発売から5ヶ月を経てめでたく導入することにした。
まず、Nikon Dfのほうの話をすると、このカメラの最大のポイントは、フィルム時代のFマウントのオールドニッコールがほぼすべてアダプター無しで直付けして楽しめることだ。
そして、いかにもNikonらしい官能的とも言えるレフ機のシャッター音、リアリティを高めてくれる光学ファインダーをのぞいて一枚一枚、シャッターを切る写真機らしい撮影感覚を色濃く楽しむことができる。
センサーは当時のブラックシップ機のNikon D4と同じものが使われていて、その描写の良さに惚れ込むファンもいまだに多い。厚みこそあるが、実はNikonのフルサイズ一眼レフ機の中では最軽量で、使ってみると取り回しもしやすく、けっこう万能なカメラであることに驚く。
もう10年モノの製品なんでWiFi機能や動画機能は無いが、それがむしろスチル撮影に特化していて扱いやすい。僕はSDカードリーダーで撮影データをiPhoneにそのまま取り込んでいるが、いまだになんらストレスない環境で往年のフィルム時代のニコンのレンズたちの描写を堪能している。
かたやNikon ZfのほうはバリバリのNikon最新の製品で、Zマウントの最新ニッコールレンズだけでなく、アダプターを介して各メーカーのオールドレンズからMFレンズまで楽しむことができるミラーレス機だ。
ミラーレス化されたことで、Dfでよく言われた「厚み」もすっきりし、フォルム的にはフィルムニコンに近づいたのは間違いない。EVFも光学ファインダーかと思うほど自然で美しく、そんな雰囲気満点のボディにZ9やZ8といったミラーレスブラックシップ機らと同じセンサーや機能を載せて出てきたから、人気が出ないわけがない。
実際、描写はやはり素晴らしいと思う。僕的には新たに強化されたモノクローム撮影に重きを置いた仕様がお気に入りだ。メニュー画面を開かずともレバーひとつでモノクロ撮影に切り替えられる仕様は、撮り手をソノ気にさせるニクイ演出でもある。メカシャッターを載せてきたのも、Z8やZ9にない魅力だろう。
僕は過去に所有したZマウント機では最新のZマウントレンズも使ってきたけど、このZfにはもっぱらマニュアルフォーカスレンズをつけて楽しんでいる。いまはコシナ・フォクトレンダーのノクトンクラシックとカラースコパーがお気に入りだ。
もちろん、Zfにはフィルム時代のニコンのレンズも装置可能だけど、そのためにはマウントアダプターを挟む必要があり、Fマウントのレンズだとどうしても前部に少し間伸びしたフォルムになってしまう。そこが僕にとってはZfとDfの使い分けのポイントで、オールドニッコール(Fマウント)を楽しむならやはりDfで、という気分が強い。
つまり、ZfとDf、どちらもそれぞれ良さがあるけど、どちらかを選ぶというより、どちらも使い分けて楽しむというのが僕の中では最適解になっていて、ようやくいま、その環境を楽しみ始めたところである。
とはいえ、一台ですべてをこなせると言う意味では、最新のZfをチョイスするのがいいだろう。それこそ、Fマウントのレンズを含めて各社各時代のあらゆるMFレンズが使えるし、ニコンの最新技術も堪能できる。いや本当に、Nikonは新旧ファンの心を満たす凄い製品を送り出してきたなと思う。
どちらか一台をというならZfがおすすめだろうけど、Dfはその半値ほどで手に入れることができるから、これもまた趣味のカメラとしてはたいせつなポイント。悩ましいと思うけど、うれしい悩みということで、ZfとDfのそれぞれの良さを調べてみる週末というのも楽しいのではないだろうか。
というわけで、きょうはニコンの往年の「らしさ」が堪能できるZfとDfのことについて少し書いてみた。外はしばらく雨が降り続いているので、僕も自室でZfとDfを触りながら、時空を越える感覚をいま楽しんでいる。
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