フィルムは高価である。ここ2年くらいで急激に値上げが繰り返されたこともあって、本当はいまの価格くらいが価値に対して適正なのかもしれないけど、5年から10年ほど前にかなり安い価格でフィルムが楽しめたことを知ってる分、「(当時と比べると)高い」という印象が強いのだと思う。
つまり、高価と感じるかどうかは、その人が価値に対して感じる印象次第だ。事実、フィルムで写真を楽しんでる人はたくさんいる。
「写真はフィルムじゃないと」という強いポリシーのようなものを持って向き合ってる人もいれば、決してそこまで大袈裟に考えずに、ラフにフィルム写真を楽しんでる人もいる。撮る枚数さえべらぼうでなければ、実はお小遣いの工夫の範囲で楽しめるということなのだと思う。
僕なんかは「シャッターを切るのが好き」なタイプなんで、枚数はけっこう撮る。なのでさすがに以前のような使い方でフィルムで撮ると破産するので、いまはデジカメで撮ることのほうが増えたけど、まあ心の中はフィルムで撮る写真機への思いが強くて、デジタルでもそんな感覚をどこか追い求めている。
でも、デジカメは変なところが写りすぎるというのはあって。言い方はむずかしいけど、たしかに綺麗に写したいという思いがある一方で、肉眼で見たその場の曖昧な空気感も残したいわけで、その微妙なさじ加減がフィルムで撮るスナップ写真には残るようなところがある。
それがまたノスタルジックさもはらんで、なんとも言えない「思い出の一枚」を紡ぎ出すのである。それがなにものにも代え難い価値と見るなら、フィルムは決して高価じゃないとも言えるのだ。(さっきたまたま見つけたThe Filmoonさんの動画が気持ちよかったので、以下に載せておきます)
と、なんか「フィルムは高価だ」みたいに書いてきたけど、ここのところフィルムの値下げのニュースもたびたび目にする。この時代にフィルムの値下げなんて可能なのか?と思うけど、フィルム写真やその文化の継承みたいなことを考えてる大人たちがちゃんといて、若い人に少しでもフィルム写真の素晴らしさを知ってもらえれば、という思いをジワジワと感じる。
世の中はたしかにデジタル化へとさらに加速してる感があるけど、「一方で」日々デジタルに囲まれるほど、それとバランスをとるようにフィルムの価値もまた再認識されているように思うし、それを実際に普段使いしてる人たちもいる。
そう、「普段使い」がたいせつだ。小難しいことよりも「だって、フィルムで撮るほうが、いい感じで楽しいじゃん」という感覚でフィルムが好まれるこのとのほうが、世界が動いてるという感じがする。写ルンです的とかオート機構のフィルムコンパクトでラフにパシャパシャと撮るあの感覚。
そうやって後日、現像からあがってきた写真と対面する感じは、やはり唯一無二のもので、この一連のプロセスがピタッと感性や価値観にハマる人は、フィルム写真にかかるお金は「決して高すぎはしない」ということなんだろうね。
この話になにか結論めいたものはないのだけど、ちょっとフィルムでラフに撮ってる人たちの楽しそうな日常を見ることがあって、そんなことを備忘録的に書いておこうと思った。これから5年後、10年後、この感覚と環境がどうなっているのかな。楽観的かもしれないけど、意外と普通につづいてるかもと思う今日この頃である。
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