Nikon Df

オールドニッコールがNikon Dfへと誘い、いまの僕がある。

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Nikon Df, Auto 50/1.4

オールドニッコール、その言葉にはメイド・イン・ジャパンの誇りというか、ちょっと特別な思いを抱かせる何かがある。僕の場合だと初めてのフィルムカメラとしてNikon FEを手に入れた時にカメラについてきたNikkor 50/1.8Sが最初の出会い。そして、次に出会ったのがこの写真を撮ったレンズ、Nikkor S-C Auto 50/1.4になる。Nikon F2と一緒に手に入れたオールドニッコールだ。

Nikon Df, Auto 50/1.4

最初は正直、現行のレンズとオールドニッコールの写りの差もよく分からなかった。それはたぶんフィルムカメラでしかオールドニッコールを使ったことがなかったから。けれど、その差が分からないというくらいオールドニッコールたちは良く写った。デジタルかフィルムか分からないくらい良く写るその性能を、実際にデジタルで試したくなった。そうして手に入れたボディが、写真のNikon Dfだった。

Nikon Df, Auto 50/1.4

デジタルで試したい、というと正確じゃないか。ちょうどその頃、フィルムで撮り続けることが楽しくてたまらなかったと同時に、フィルムの明日とかじぶんのカメラライフの明日を考えてたんだよね。「フィルムは好きだけど、だんだんと縮小するフィルムの世界にどこか不安を抱いた。なによりコストもだんだんと高くなっていく息苦しさを感じつつあった」ということ。もっといろんな要素が絡み合ってるんだけど、まあ要約するとそんな感じだ。

Nikon Df, Auto 50/1.4

僕の一眼レフライフはご覧の通り、絶景を撮りに行くわけでもなく、街撮りスナップに持ち出すわけでもない、ただたわいのない週末の散歩カメラとしての使い方だったから、ふと「特に代わり映えのしないふだんの散歩カメラは、デジタルでいいんじゃないか」「とはいえ、それはできればフィルムカメラライクなひと時でありたいな」と思った。そうしてたどり着いたのが、オールドニッコールを楽しむために開発されたといってもいいデジタル一眼レフ「Nikon Df」との出会いだった。

Nikon Df, Auto 50/1.4

そのDfとオールドニッコールで週末を撮るというのが、僕には見事、最適のチョイスだった。僕はフィルムで撮るというより、カメラが好きでシャッターを切ることが歓びということに気づいた瞬間でもあった。Dfでデジタルを楽しむことを再発見し、デジタルを通して写し出されるオールドニッコールの味わいにすっかり魅せられることになる。なにより日中でも明るいレンズを開放付近で撮れるデジタルのありがたみに、なにか新しい世界を手に入れたような感動があったことを覚えている。

Nikon Df, Auto 50/1.4

オールドレンズはやっぱりフィルムカメラで、という人も少なくないとは思うけど、僕はフィルムとデジタルの境界線はオールドレンズのおかげでいい意味で曖昧になった。その後、M型デジタルのLeica M-P〈typ240〉やFUJIFILM X-E2、OLYMPUS PEN-Fを手に入れるに至り、半世紀前のエルマーやズミクロン、ロシアンレンズなんかをデジタルで楽しんでいる。そして、そのレンズたちはフィルムカメラとも行き来して、まさにハイブリッドな活躍だ。本当に楽しさを二倍味わっている、そんな感覚がある。

Nikon Df, Auto 50/1.4

2018年の最後となる大晦日の朝、僕はいまのじぶんのカメラライフの一歩を踏み出させてくれたNikon Dfとオールドニッコールで撮り歩きたいと思った。いつものなんてことない近所の散歩道だけど、これが僕の原点みたいなカメラとの向き合い方。カメラのある普通の日常のひそかな楽しみを再確認しておきたいと思った。そして、撮ったものは大したことないんだけど、Dfとオールドニッコールが撮るその時空を超えたような懐かしい写りに、あゝやっぱりいいな、この組み合わせは、と心満たされるものがあった。

Nikon Df, Auto 50/1.4

そういえば、昨日Twitterで「春からFUJIFILM業務用フィルムが一本600円ほどに値上がりする」というツイートを見た。業務用100はまさに僕の常用フィルム。いまだと一本250円程度で、シャッターをたくさん切りたい僕としてはとてもありがたい存在のフィルムなんだけど、それが600円ともなると、他のプロ用フィルムとさして変わらない高価な感覚になる。当然少し不安というか残念な気持ちにはなるわけだけど、以前の僕と少し心境に違いがあるとするなら、それは「僕にはデジタルカメラとオールドレンズもある」という安堵感のようなもの。デジカメは100年持つような代物ではないけれど、オールドレンズを変わらず楽しむ機材としては、とても有益で素晴らしいカメラだと感じている。そしてまだまだ僕には「未体験なカメラとレンズの楽しみ方」があるのではと、少ししワクワクもしている。

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