気になるモノ語り

クルマもカメラも、基本性能とエモーション。

アフィリエイト広告を利用しています
BMW E90, FUJIFILM X-T2, XF 35/2R WR

きょうは愛機ならぬ愛車の話を少ししたいと思っている。というのも、僕の中でこの二つのプロダクトに求めるものがかなり似通っていて、それはカメラの話にも通じるからだ。

僕はクラシックなカメラが好きで、もう何十年も前に作られたフィルムカメラや、同じく発売から10年以上経つオールドデジカメなんかをいまだに現役の道具として使っている。そして、それと同じように、もう新車で手に入れてから10年以上同じクルマに乗り続けている。BMW E90タイプ、いわゆる3シリーズと呼ばれるものだ。

BMW E90, FUJIFILM X-T2, XF 35/2R WR

10年以上前のクルマなんで、カーステレオ(呼び方が古い笑)はいまだにCDでしか音楽が聴けない。CDチェンジャーなんて気の利いたものも積んでいないから、いつもCDは山下達郎のベストアルバムが入りっぱなしだ。たまにユーミンに切り替えるけど、それでもクルマのダッシュボードにはこの二人のアーティストのCDしか積んでいない。つまり、僕がじぶんのクルマに乗る時は、完全に80年代にトリップする個室空間になる。

カーナビだって無い。けれど、これもiPhoneのGoogleマップがあるから困ったことは無い。むしろ、ソフトウェアをアップデートしなくていいし、何よりモニターが鎮座しない前面パネルは古き良き時代のクルマらしいデザインを維持できていて、当時のまだ機能の乏しいカーナビを装着しないでほんと良かったと、ふっと胸を撫で下ろしているくらいだ。

BMW E90, FUJIFILM X-T2, XF 35/2R WR

そんな装備的なことよりも、このクルマの真骨頂は自動車としての基本性能の確かさと、胸がすく気持ちいい乗り味にある。クルマに詳しい人なら知ってると思うけど、BMWというメーカーが掲げるブランドプロミス「駆けぬける歓び」はダテじゃない。というか、もう行き過ぎるくらいのこだわり集団が作ってしまっているから、ある意味そこまでやらなくてもよくね?一般人の普通の自家用車に…って感じになってしまってる。

こだわりということでいえば、お馴染みなのはクルマのフロント部の意匠「キドニーグリル」だ。腎臓の形を模したあの鼻の穴のようなグリル。時代の変換とともにサイズや輪郭は変化しつつも、あの顔だけは変わらない。あと、前後50:50に配分された重量配分。これによって、クルマの重心はまさに中央にレイアウトされ、ドライバーはどんな低速で旋回しても超絶気持ちいいドライブフィールを堪能できる。郊外のワインディングロードを駆けぬける時はすこぶる気持ちいいわけだけど、僕はただの四つ角をゆっくり旋回するだけでもいまだにゾクっとする。あとは、後部三角窓が少し跳ね上がったホフマイスターキックとかね。とにかくそのこだわりを譲らない精神は、ある種あっぱれの域にある。

BMW E90, FUJIFILM X-T2, XF 35/2R WR

そうした基本性能はもう10年以上前に完成の域に達してるから、走りの気持ちよさそのものはいまだにまったく不満なんか無いのである。もちろん、10年以上前の古いクルマだからハイテク装備なんかでは現代のクルマには遠く及ばない。けれど、ここあたりがもうほんとカメラと一緒で、基本性能さえしっかりしていれば写真を撮ることになんら問題ないのと一緒で、気持ちよい走りを堪能する点においては毎年整備さえしっかりしておけば、10年以上経過してもノープロブレムなのである。素晴らしいよね。

でも、さすがに古いクルマだから、我が家にはもう一台、このクルマの後継車であるツーリングワゴンがある。僕は古いクルマで全然平気なんだけど、妻にその思いを押し付けるわけにもいかないので、5年目くらいの頃に買い替えをしようと思ったんだよね。その時に僕の古いクルマは下取りに出すつもりだったんだけど、別にどこも壊れていなかったし、最後の最後にあまりにも愛着があって手放せなくなったんだ。さすがに2台のクルマを所有する財力は無いんだけど、ローンも払い終わったクルマだし、下取り金額もそれほどつくわけじゃなかったから、なんとか維持費だけは捻出して乗り続けようと思い、現在に至る。

まあ、維持費だけでもヒーヒー言ってはいるんだけど笑、例えば今朝みたいにちょっとエンジンに火を入れて暖気して、達郎の音楽を聴きながら辺りをゆっくり流してみると、あゝやっぱりこの長年寄り添った愛車がいいなと思うんだよね。まさに愛のあるクルマ。僕は若い頃に街中で見惚れていた箱型のE30型BMWを、ある程度歳をとってから後に中古でやっと手に入れて、その後にオープンエアのZ4、そしていまのクルマたちと、ずっとBMWを乗り継いできた。もはや肉体のような存在。そう、カメラと同じようにね。仕事を引退するまでは乗り続けたいと思ってるけど、僕が壊れるのが先か、この愛車が壊れるのが先か、なかなか悩ましいここ数年である笑。

関連記事