Nikon機以外で初めて手にした一眼レフ、Asahi Pentax SPの初現像があがってきた。想像以上に好みのシャッターフィールで驚いたSPだけど、試し撮りの写真たちもなかなか味わい深くて、やっぱりフィルムカメラはいいなあと感心してる夜。
レンズはSMC Takumar 55/1.8。Super-Takumarはよく聞くフレーズだけど、このSMCというのはスーパー・マルチ・コーティングのTakumarという意味らしい。そのコーティングのせいか、このレンズの表面はオレンジとグリーンがグラデーションするようななんともいえない美しい色を放つ。
写真もまたなかなか美しい。試し撮りということもあるし、SMC Takumarの癖を確かめたくて開放気味で撮ったんだけど、オールドレンズ らしいボケの暴れ方みたいなものはあるものの、どこか繊細さも持ち合わせていて、そういう微妙なギャップみたいなものが嬉しい。
撮影場所はいつもの愛犬との散歩道なんで、特にハッとするシチュエーションでもなく、そこはご容赦いただくとして、SPとSMC Takumarが描き出す世界はなんとなくつかんでもらえるんじゃないかと思う。
まあ、これだけちゃんと撮れるなら合格ではないだろうか。というか、一眼レフといえばNikon機しかないというくらいNikon一辺倒だった僕だけど、Pentaxはいい意味でそういう固定概念を吹っ飛ばしてくれた。これはアリだし、Pentax一筋みたいな人がいることも納得がいく、とてもエモーショナルなカメラ&レンズだと思う。
あとね、FUJIFILM業務用100との相性でいえば、Nikon F2やNikon FEとオールドニッコールよりも良いんじゃないかと感じる。これはレンズSMC Takumarの効果なのかもしれないけど、明暗にもよるけど色のりに深みがある気がする。単にボケが華やかというわけではなく、適度に暗部に芳醇な色艶を見せてくる。ちょっとPRO 400H的な表情とでも言おうか。
こういうのを味わっちゃうと、やっぱりフィルムカメラはやめられない。デジタルがどうのこうのというつもりはないけど、シンプルにデジタルには出せない色気でありムード。しかも、僕の中ではNikonに比べライトなイメージがあったPentaxが、むしろNikonより大人の余裕というか、落ち着きを醸し出す。これは、見つけたら買いだと思う。
比較的コンパクトで精悍なブラックボディがなかなか男前でかっこいいPentax SP。その存在感も含めてセクシーなカメラという気がする。いやあ、Nikonから少しブレちゃったかなとか思いながら手にした初のPentaxだけど、いい意味でブレるのも大切というか、素直に出会えてよかったと思わせる歓びに今浸っている。ちょっと僕の中でカメラの序列みたいなものが壊れつつある。