以前も何度か書いたことがあるんだけど、このRolleiflex Standardという二眼レフカメラは、フィルムチャージとシャッターチャージが別々だから、シャッターを切るときはこの二つのチャージを行わないといけない。でも、現代の簡単な撮影動作に慣れてるとどうしてもフィルムチャージの方を忘れてしまう。そうすると、フィルムは送られていないのに2回目のシャッターを切っちゃうから、この写真のように一枚の写真の中に2つの光景が重なって現像される。これがいわゆる多重露光というもの。(一応、多重露光とは?という人のために少し書いてみた)
多重露光はひとつの表現方法だから、意図的にそうして撮る場合もあるんだけど、僕の場合はこうしてフィルムチャージを忘れてしまうことで、年に何枚か、いや10枚以上かな、多重露光が撮れてしまう。つまり、意図しない多重露光。でもね、現像からあがってきた写真を見た時に多重露光が混ざっていると、それはそれで何かグリコのおまけのようで嬉しかったりもする。2枚の光景を重ねることを意図していない、本当に偶然性の産物だから、僕は写真の神様からの贈り物みたく思ってる。
実は先週手に入れたKodak Retina typ117も同様のシャッター機構で、フィルムチャージとシャッターチャージが別々だから、意図しない多重露光機でもある笑。試し撮りしたフィルム一本の中に早速一枚混じってたからね。Rolleiflex StandardもRetina typ117も共に1930年代のカメラで35mm機の初号機。その後の製品からはこの別々の2つのチャージは必要なくなり、フィルムチャージをしたらそのままシャッターが切れるようにカメラたちは進化していくわけだけど、せっかくこの初号機ならではの2つのチャージ機構のカメラを所有するなら、意図して多重露光を楽しむというのも手かもしれないね。多重露光は記憶という要素にアートが加わった感覚を楽しめる。そうだ、今度はフィルム一本、すべて多重露光で撮ってみようかな。そんなことを考える雨の日曜日の朝。