一眼レフのように分かりやすく気持ちを高揚させるのとは少し異なる、なかなか言葉に言い表せない魅せられ方。レンジファインダー機に惹かれるありようのことである。
フィルムカメラにおいても一眼レフがキング・オブ・カメラな空気はやっぱりある。けれど、一定の数だけ根強いレンジファインダーファンがいるのもまた事実である。あのなんとも言えない出しゃばらない感じが、普段着的にさらっと写真を撮る人たちの気持ちを、静かではあるけど強く鷲掴みにする。僕もそういうところに魅せられた一人かもしれない。
一度でもレンジファインダーをのぞいたことがある人なら、あの、アレ?って思う感覚を持ったことがあるに違いない。それは、例えばM3のファインダーのようにあまりにも美しいその様子に心を打たれるものでもあったり、そうではなくフィルムコンパクトのファインダーなんかをのぞいて、そのあまりに普通な光景に驚くというようなことも含めて。
僕はNikonの一眼レフたちは大好きだけど、そこにまったく異質な存在としてこのLeica M3が君臨するんだ。君臨するといったら高圧的か。もっと普段着みたいな、その存在があまりに普通で心地よすぎて、あえて強くは意識しないあの感じに近いかな。うーん、このニュアンスを言葉にするのはやっぱりむずかしいな。もし興味を持ってもらえたなら、ここから先は実物を触ってもらうしかない。あの儚い感じを、その目で、その手で確かめてもらうしか。この時代にあって、なかなかの新鮮さで感動が押し寄せてくるよ。