![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/4390AA1C-2F28-40F0-A585-9C767C8A3A0E.jpeg)
現像出しから二週間くらいかな、やっと初めてのブローニー現像があがってきた。カメラは古いし、その扱いはぎこちなかったし、ちゃんと撮れてるんだろうかと期待と不安が入り混じる中での対面。それだけに、写真を見たときは嬉しかった。ただひたすら感動した。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/14E66025-7129-4E13-B08D-C76005FF1F5D.jpeg)
撮影場所はいつもの散歩道だし、僕の腕もこんなだから決して素晴らしい写真なんかじゃないけど、僕からしたらローライフレックス120フィルムの初号機であるスタンダードの操作に四苦八苦しながらも、こうして曲がりなりにも撮れていたことが嬉しいし、奇跡だと思った。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/CDF7687A-CDF4-47DF-B249-E58674560C2E.jpeg)
驚いたのは、ちゃんとブローニーフィルム1本につき12枚ずつ撮れていたこと。ローライフレックス・スタンダードは赤窓を見ながらフィルム送りレバーをまわし一枚目をじぶんでセットしなければいけないんだけど、現代のフィルムはどうも当時より紙が薄いらしく、コマ間が狭くなったり、赤窓から感光したり、11枚しか撮れなかったりと、なかなか微妙でむずかしいと聞いていた。けれど、現像してみると12枚しっかり撮れていた。ほんと、写真の神様に“ありがとう”という気分だった。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/A4D8643D-8557-444B-97AA-C0B3A3D83A7C.jpeg)
とはいえ、何が良くて何が悪いのかはまだ分からない。撮ってる時の僕はひたすら夢中で、操作ひとつひとつを慎重に行ってはいたけど、あまり覚えていないんだ。ただただ、その幻想的なファインダーの中の絵本のような世界に見惚れていた。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/A40E9DDC-7C13-4F04-8876-13CD7A150934.jpeg)
この「スタンダード」はその後のローライフレックスに比べると、ファインダーは暗いし、フィルム送りとシャッターチャージは別々に行わないといけないし、シャッターボタンも横スライド式で手ブレしやすい。ローライフレックスの中でもいちばん手のかかる子といっていいと思う。でも、手のかかる子のほうが可愛いし、そうして撮れる写真は実に愛おしい。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/A0FD55B9-261C-4B4D-9058-E2B9E03EAF58.jpeg)
でも、手のかかるこの子は、やる子でもある。よく知られるローライフレックス3.5Fや2.8Fと比べるとひとまわり小さく、圧倒的に軽い。そう、より持ち出しやすい軽快なローライフレックスなんだ。そのレトロなデザイン、佇まいと共に、僕がスタンダードに惹かれたポイントはそこだった。ライカでいえばバルナックなんだ。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/FAE1BEDE-30E5-4E59-BE70-91CD4EFAB759.jpeg)
そして、真四角写真。Instagramなんかで見慣れたスクエアフォーマットもこうしてじぶんで撮ったものを実際に観見ると、なんともチャーミングでクリエイティブ。6×6の中判に惹かれるひとたちの気持ちがとても分かるなあと。これは、35mmフィルムとは異なる世界、やっぱり絵本の中の世界というか、僕にはとても幻想的に思えた。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/30197D66-74E4-421E-B73B-FB0EB51CC671.jpeg)
なんだか似たような写真ばかりで恐縮だけど、試し撮りでそのスタンダードの世界に一気にハマり、一気に撮ったので、僕としてはその夢中で一気にシャッターを切り続けた感じが見て取れて、それもまた感慨深い。フィルムはFUJIFILMのPRO160NCなんだけど、このフィルムも好きになった。実はこの後モノクロフィルムも1本撮っていて、それは今日トイラボさんへ現像に出した。これもまた楽しみでならない。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/05/B0592942-84F4-4025-9F7D-733EC4252D62.jpeg)
1930年代の二眼レフとレンズで2018年の今を撮る、その不思議な感覚。フィルムの未来は決して明るいものでないとしたら、なおさらこの世界はせつなく愛おしい。あと何年撮れるか分からないけど、この感触と写真をしっかりと五感で堪能して、その記憶をこのブログに記し続けていきたいと思う。もし、中判を試してみたいなと考えてる人がいたら、ぜひ一緒に楽しみましょう。そして歴史の目撃者になろう。