72枚という途方も無い枚数の試し撮りの現像があがってきた。ハーフサイズカメラ PEN EE-2の初現像である。とにかく早く撮ってみたくて手持ちのフィルムを装填してみたものの、36枚撮りフィルムだったんでハーフ判のPEN EE-2だとなんと2倍の72枚も撮れてしまうのである。フィルム一本で72枚って、もうそれはそれは未知の世界だった。
枚数も未知の世界なら、撮れる写真もご覧のように2枚1組であがってきて、ハーフ初体験の僕にとってはこれまた未知の世界。もちろん、1枚ずつトリミングしてもいいんだけど、せっかく2枚1組で撮れるわけだし、1970年頃の当時もきっと2枚1組で一枚の写真としてプリントしてたのだろうから、僕もそういう使い方をしてみようと思った。
とはいえ、撮ってる時はもう夢中だから2枚1組を意識して撮るっていうのもままならなくて、どの写真とどの写真が2枚1組なんて分からないんだよね。僕の初の試し撮りはそうだった。だから、現像があがってきて、結果的に2枚1組の写真が36種類撮れたというのが正直なところ。計算して組み合わせた写真たちじゃなくて、たまたま出来上がった写真たちだ。
でもその偶然性が楽しいと思ったし、次回撮る時はこの2枚の組み合わせのおもしろさをもっと考えて撮ってみたいと思った。そう、ハーフサイズのカメラ、しかもPEN EE-2はフィルム感度を合わせたらあとはシャッターを押すだけのお手軽カメラと思われがちだけど、どちらかというと手軽というよりはすごく創造性が求められるカメラだと感じた。
1970年頃の発売当時は、フィルム一本で72枚も撮れてしまう、とてもお得な大衆的カメラだったんだろうけど、そこを逆手に取るというか、2枚1組で撮れる組み合わせの妙みたいなものを楽しむカメラと考えたほうがユニークだしクリエイティブ。それこそハーフサイズカメラならではの独特の体験なんじゃないかな。
あと見ての通り、ハーフサイズカメラのファインダーは縦構図なんだよね。ファインダーの中に浮かび上がるブライトフレームが縦の長方形なのもなかなか新鮮な体験で、いつもの横構図がスタンダードなカメラたちと比べても頭の中が少し混乱しておもしろい。露出合わせもオートでピントも固定な分、構図決めや2枚の組み合わせの妙に集中して撮ると唯一無二のおもしろさが味わえるカメラなんじゃないかな。
レンズはD.Zuiko 28/3.5。35mm換算だと40mmくらいの焦点距離になるとのこと。僕の手持ちのカメラだとRollei35と同じで、38mmのKonica C35とも感覚が近い。この焦点距離はスナップにも適した撮りやすいサイズなんだよね。まあ72枚撮るのはなかなか大変なんだけど、この撮りやすい焦点距離のおかげで僕は割とあっという間に試し撮りを終えることができた。
写りもさすがはZuiko、露出やピントがハマればなかなかシャープな描写をしてくれる。フルサイズのテッサー型レンズ ヘキサノンのC35なんかと比べると多少甘いようにも見えるけど、ハーフサイズでこの写りなら文句なく優秀といえるんじゃないだろうか。その意味でも単に大衆的カメラなんじゃなくて創造性豊かなカメラだと思うな。
というわけで、僕のハーフサイズカメラ初体験の感想を記憶としてここにあげてみた。フィルムカメラを始めた時から心のどこかでずっと気になっていたハーフサイズカメラをようやく体験できて、なんというかとても充足感に満たされている。
なにか新しい扉を開いたような新鮮さと期待感があるし、とにかくこの2枚1組の写真の組み合わせの妙をもっともっと掘り下げてみたいと思った。
僕のカメラとの向き合いは「未体験の世界を確かめたい欲求」にあったりする。そういう意味ではもっともっとおもしろさを確かめたいカメラ。ハーフサイズカメラ未体験の人は、手軽な入門カメラというより、創造性豊かなカメラとしてハーフサイズカメラを楽しんでみてはどうだろう。
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