![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/AB08D8A9-0B02-4602-BC4A-7D22DE3C0968.jpeg)
ズミルックスだけは開放にかぎる。
ズミルックスはライカのレンズの中で最も明るい部類に入るレンズ。僕が使っているのはMマウントの50mm f/1.4 第二世代〈2nd〉と呼ばれるもので、ふだんはM型デジタルのLeica M-P typ240に装着していることが多い。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/D9C84238-C538-4515-B257-AE274D0ACF80.jpeg)
Mマウントだから僕が持っているフィルムライカのM3にも装着できるわけだけど、それはもうほんと夜のフィルム撮影でどうしても失敗したくない時に持ち出す程度の頻度で、ふだん大体はデジタルのM-Pに付けっ放しにしている。なぜかといえば、やはりこのレンズだけは「開放で撮りたい」と思っているからだ。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/C8E4E127-AAAC-4701-9486-37A7F8FCA11C.jpeg)
フィルムライカだと僕はシャッタースピードは1/500までしか使わないから、晴れた日だとある程度レンズのf値は絞ることになる。それと比べるとシャッタースピードが1/4000まで稼げるM型デジタルのほうが格段にレンズの絞りを開けることができる。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/FD4E0D4C-D0F0-46D6-87EB-2FE1DB05E1E7.jpeg)
ズミルックスの語源はまさに「最高の光」。ライカのレンズの描写といえば落ち着いたトーンのものが多い中で、このズミルックスだけは独特の華やぎを持っていると僕は思っていて、その世界を引き出すにはなんといってもf1.4の開放付近で撮ってやりたいと思うのである。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/5063875B-2A35-4F7A-B2A9-40487995A078.jpeg)
ひとによっては「ズミルックスの開放付近は暴れすぎる」とも言われ、何段か絞ったほうが玄人好みなのかもしれないけど、僕はなんといってもズミルックスだけは開放付近が好き。できれば開放f1.4で撮りたいというこだわりすらある。だから、比較的絞りを開けやすい朝夕の時間帯に好んで持ち出すことが多い。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/C4E2CD82-1D50-4F7B-88E9-F7D994D41046.jpeg)
たしかに「暴れる」という見方はあるくらい、開放ズミルックスの写す世界は独特だ。ちょっとアメージングなくらいのもので、力強い描写のズミクロンや端正なエルマーとも違う、ズミルックスだけの光の世界がそこには存在する。僕はそう思っている。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/E35817AE-22CA-4626-85FB-71CBF36A157A.jpeg)
f1.4ともなると相当ボケるから、一般的にはたしかにボケすぎてちょっと気持ちが悪いレンズも少なくないけど、このズミルックスだけはそれが気にならないというか、ボケすぎるくらいボケても破綻しない不思議な描写をする。それはもしかしたら第2世代のズミルックス50が醸し出す世界なのかもしれないけど、この世界を一度味わったらなかなかやみつきになって、ひとはズミルックスから離れられなくなる。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/605C0B43-8344-4236-A2AD-56DB99EDA507.jpeg)
そう、このレンズは魔性のレンズでもあるんだ。デジタルで撮るとそれでもクリアすぎてクラクラするような描写をみせたりするけど、フィルム開放付近だとそれもマイルドになって、やはりフィルム時代に生まれたレンズだと思わせる相性の良さが感じられる。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/043DBF5A-77D8-4174-9DE2-C2609ADEC406.jpeg)
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/C44262D4-4E35-4EC1-884C-2B5BAF58D496.jpeg)
けれど、僕はフィルムのマイルドさをまとっていない、デジタルで撮る時の剥き出しで裸のズミルックスが好きかな。デジタルで撮ることを想定していない時代に作られたレンズがデジタルによって現代のセンサーと混ざり合い、化学変化を起こしたようなこの描写にゾクゾクとするのである。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/3341C0A1-F819-4498-B294-60A69890157E.jpeg)
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/71CA203A-7A86-4F27-8441-668D1A54BDBB.jpeg)
ここにあげた写真はどれも自然の中のスナップだけど、スナップシューターが代名詞とも言っていいライカだから、もちろん開放ズミルックスは街中でもとても魅力的な威力を発揮する。それはカラーだけじゃなく、モノクロでもちょっと脳が揺らされるようなハッとする写真を創り出す。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/8413531C-9C21-4CAC-B568-DEC766997031.jpeg)
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/11/9540672D-4A1B-421B-B958-8B54714F754E.jpeg)
ここにあげた写真はどれもすべてズミルックス開放で撮ったもの。まあ僕の腕前はともかくとして、ズミルックスというレンズの開放の独特の世界がなにかしら伝わるのではないかと思う。このレンズは決して安くはない。フィルムライカのM3の程度の良いものが余裕で買えてしまう価格で売られていたりする。価格の割高さでみればズミクロンやエルマーのほうがはるかにコスパはいいけど、この開放の素晴らしさは「ズミルックスだけの特権」なのかもしれない。それほど別物の世界がそこにはある。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/08/B591E1EC-4CC3-46CA-A3FD-F30C9515AFD0-320x180.jpeg)