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ずっと気になっていたスレンダーなあの人のような。Mエルマー 90mm f4との出会い。
どうだろう、例えるならフラミンゴの脚のような、少しアンバランスとも思える華奢でスレンダーなレンズ。それが僕がエルマー90mm f4に抱いていた印象だ。そして、ずっと心のどこかで気にしていたレンズ。2018年も終わろうとするタイミングで、この隠れ意中の人みたいなレンズと、僕はようやく向かい合うことになる。
いつもの通り、このレンズの細かい説明は他の詳細サイトを見てもらうとして、僕のブログではざっくりとしたこのレンズのあるひと時みたいなものを伝えられたらなと思う。このElmar 90mm f4は、Mマウントの初代になるのかな。レンズ構成はまさにLマウント時代のElmar 90mm、それをM3の登場と共にMマウント化されたもの。沈胴式もあるけど、僕の手元へやってきたのは固定式のフラミンゴ(勝手に命名した)君のほうだ。
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上の写真はM3に装着した写真だけど、まずは試し撮りということでM型デジタルのLeica M-P typ240に装着して、いつもの散歩道を少し撮り歩いてみた。ふだんのライカと僕はほぼメインが焦点距離50mm、たまに街撮りでは28mmのMロッコールを装着するけど、90mmという中望遠はこれまで縁がなかった。けれど、M3にはそもそも50mmの他に90mmと135mmのブライトフレームがある。だから、心のどこかでいつかは50mm以外のフレームも使ってみたいという思いがあった。
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いつもは背面モニターはオフにしてるんだけど、さすがに初めてのレンズの試し撮りであること、そして何より90mmのブライトフレームは50mmの半分ほど小さな枠の中で被写体を切り取るから、今回は背面モニターをオンにして撮り歩いてみた。そうしてシャッターを切って見るモニターの中の世界は、いつもの見慣れた世界よりは密度のある世界が展開される。
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明らかにいつもと違う世界に、僕の脳が喜んでるのが分かる。中望遠はもともとカメラを始めた頃は好きな画角だったけど、以降スナップシューティングにハマっていったせいか、標準50mmから広角系へと進んでいったところがあって、中望遠はご無沙汰だ。けれど、50mmあたりのオールドレンズをAPS-CのFUJIFILM X-E2で撮ったりしているうちに75mmとか82.5mmという世界を楽しむようになり、いっそ90mmとか堪能してみたいなと思うじぶんがいた。
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撮ってみて思うのは、あゝライカだなやっぱり、みたいな情緒感かな。1954年に登場したレンズだから、70年以上前に製造されたものだけに現代のレンズと比べれば随分と甘さもあるかもしれない。けれど、僕にはそれは味であり豊かさであって、この時空を超えた「写りすぎない美しさ」が実に心地いい。僕がライカに使うレンズはどれもオールドレンズだけど、今回もまたそのチョイスが本能的に気持ちいいことを再確認できた。
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初めての試し撮りだし、僕はレンズの癖のある部分を好むから、すべて絞り開放で撮ってみた。開放値f4はそれでも落ち着いた描写を見せてくれた気がするし、その中でいい意味で曖昧さも滲み出た気がして、実にその絶妙の塩梅に僕は嬉しくなる。隠れ意中の人は、僕の想像を裏切らない魅力的な人だったといっていいだろう笑。
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高価なライカのレンズの中にあって、このElmar 90mm f4は手に入れやすい価格帯だし、僕のようにElmar 50mmが好きな人にはとても心地よく使ってもらえるレンズじゃないかと思う。90mmという世界はいわゆるポートレート向きの焦点距離だろうから、モデルさんじゃなくっても家族を撮るレンズとしてもなかなか魅力的かもしれない。そうそう、大事なことを忘れてた。このレンズ、見た目を裏切る「軽さ」です。ものすごく軽いと言っていいレベル。ここにライカの凄みを見た気がした。
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で、このMマウント初代のElmar 90/4だけど、中古カメラ店でもよく見かけると思う。僕が手に入れたものも外観、レンズ部共に程度はけっこう良くて、フードと被せキャップも付いていてありがたかった。
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今年の年末年始は休みも長いし、少しこのElmar 90/4の癖を掴む感じで撮り歩いてみようかなと考えている。フィルムライカのM3でも試し撮りしてみたいしね。それにしても、このスレンダーなレンズとライカボディは実に絵になる。わが家ではこのElmar 90/4は“フラミンゴ君”と呼んで使い込んでいこうと思っている。