Nikon Dfとオールドニッコールいや、見るたびに「いいな」と思わせてくれるカメラは貴重なのだ。Nikon Dfはその最高の部類に属する。
このカメラが誕生した時は、まわりのどのカメラも一眼レフ機ばかりだったから、そのなかで異質と思えるデザインのNikon Dfはある種「変わり者のカメラ」だったかもしれないが、あれから10年。むしろ、時代がDfを際立たせている。
ここにきてクラシックなデザインというだけでなく、それを「レフ機」で実現しているところに価値がある。おそらくいま、このNikon Dfのシャッター音を体感したら、多くの人がゾクゾクっとするだろう。
カメラらしさとは、見た目の表面的なデザインだけでなく、内側からの機能美として体現される。Dfには、それがある。
見るからに精度が極まったダイヤル類の感触も見事だ。カチカチッと心地いいクリック音を鳴らして操作すると、その質感づくりにどれほど時間をかけてこだわったのだろうと思わず唸る。
そして、なんといっても素晴らしいのは、往年のオールドニッコールを装着した時の勇姿だ。まさしくフィルムニコン時代のレンズを末長く楽しむために生まれてきたデジタル一眼レフだけに、ニッコールのどのオールドレンズを装着しても絵になる。
もはや中古でしか手に入らないカメラだから、その勇姿にふれるには運良くカメラ屋で遭遇するしかないが、もし遭遇できたら、ぜひその内側から発する「カメラらしさ」の一端を垣間見てほしい。当時の後藤さんらNikon開発陣が目指した、妥協なき思想のようなものが感じとれると思う。
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