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フィルムとフィルムカメラはやはり愛おしい。なかでも機械式カメラで撮る時間は、少しだけ混沌とした時代の過程を止められる気がして、僕的にはとても心地いい。
機械式カメラはいくつか手元にあるが、最も愛しているのはLeica M3と、このNikon F2だ。F2は個人的にはアイレベルが潔く美しい。つまりF2アイレベルと撮ろうと思う時間は、じぶんの中に少し特別な感情が湧く。
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じぶんが美しいと思う道具を持つと、自然と美しいと思う被写体へ気持ちが向かう。それはけっこう重要なことだと思っていて、理屈的に撮るということを超越して、ただただ美しい時間を過ごそうとするスイッチが入る。つまり本能というやつだ。
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写真家の林ナツミさんが以前言われていた「機材も写真という記憶の大切な一部分だと感じています」という言葉がとても好きなんだけど、機材の美しさや儚さが、美しくあろうとする時間へ撮り手を向わせる何かはあると思ってる。
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世の中、似たような製品の模倣とか小刻みなスペック競争とかはもういい。辺りから突き抜ける美しいカメラは、もう出てこないのだろうか。決して多数派の声ではないことはわかっているけど、受け継がれるモノにはそういう魂が必要だと、いま感じている。
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