少しだけ試し撮りできる時間があったから、Dfを初めて外に連れ出してみた。レンズはAi 28mm/F2.8。やっぱりDfにはオールドニッコールのMF単焦点レンズがよく似合う。
撮った写真はiOS写真に保存したんだけど、まだiCloudで共有されていないのか、iPhoneの写真フォルダにアップされていないから、またの機会に。なにせ、DfにはWiFiも付いていない。それどころか動画機能もないし、カードスロットもSDひとつだけのシングルスロット。画素数も1600ちょっとだったかな。機能スペックだけ見たら、エントリー機でもこのカメラを超えるカメラはたくさんあるし、あえてこの時代にDfというカメラを選ぶ理由は普通はないのかもしれない。
まさに世は最新のフルサイズ機Nikon D850の登場に沸いてる最中、スペックだけ見たら高機能デジタル一眼レフを選んだほうが幸せになれるかもしれない。でも、僕は一切迷わず、このNikon Dfのブラックボディを選んだんだよね。これはもう、必然だったというしかない。
それは、フィルムカメラに魅せられた僕だからの選択。この数ヶ月、フィルムカメラのマニュアルでカメラを操ることが楽しくてしょうがなかった。そっか、カメラってオートを便利がるよりじぶんで試行錯誤しながら一枚一枚ゆっくりとシャッターを切ることが醍醐味なんだと気づいたんだよね、僕なりに。
そして、絞りやシャッタースピード、ISO感度なんかをダイヤルをいじりながら撮るのが、まるでゲームをクリアしてくかのように愉快で痛快だったんだよね。マニュアルフォーカスのレンズでじぶんでピントを合わせることもいつの間にか自然な所作になっていった。
で、それってフィルムカメラならではの楽しみなんだと思ってたんだけど、いやいやデジタルでもできるんだと知ったんだ。それが、この唯一無二のデジタルフルサイズ一眼レフ、Nikon Dfとの出会い。フィルムカメラにあまり馴染みのないひとには何をそんなに感動してるんだと思われるかもしれないけど、このDfの軍艦部(カメラ上面部)には普通のデジタル一眼レフにはないいくつものアナログ的なダイヤルが並ぶ。
このレイアウトがまさに僕の所有するフィルムカメラNikon FEなんかとほぼ同じなんだ。違いがあるとすればフィルム巻き上げレバーが無いことくらいかな。そう、僕がフィルムカメラで魅せられたマニュアル操作で写真を撮る楽しみが、このDfならデジタルでも楽しめるんだ。僕には高機能スペックよりも、このカメラを操る楽しみのほうが何より大事だった。
もちろん、現代のデジタル一眼レフとしての性能も十分すぎるほどある。センサーはフルサイズで一世代前のフラッグシップ機と同じものを積む。高感度も頼もしく、いかにもフルサイズらしいゆとりのある写真が撮れる。僕はマニュアルか絞り優先で使うけど、シャッタースピード優先や完全オートのプログラムモードでも撮れる。
そういう意味では普通に便利なデジイチなんだけど、このDfにはフィルムカメラとの間にギャップがないというか、かつてのフィルム世代のNikon機に慣れ親しんだひとにはその延長線上で楽しめるデジタル機なんだ。僕がDfを手にする理由はそれだけで十分すぎるほどだった。
きょうの初めての試し撮り。わずかな時間だったけど楽しかったな。レンズの絞りをまわして、シャッタースピードを決めダイヤルをまわす。ピントを合わせてシャッターを押す。心地いい音を聴きながら、モニターで露出が合っていたかどうかを確かめる。写真が暗ければ絞りを開けたりシャッタースピードをいじってまた撮る、撮る、撮る。この繰り返し露出を変えて撮るのがクイズを解くようで楽しい。
それと、フィルムカメラならフィルムを撮り終えるまでは感度は変えられないけど、当たり前だけどデジタルならその都度ISO感度を変えることもできる。Df初めての本当にフィルムとデジタルのいいとこどりが楽しめるんだよね。そうしたことを再確認できて、やっぱり手に入れて本当によかった、そう思えた初めての屋外での試し撮りとなった。
まあ僕はフィルムカメラに魅せられてDfにたどりついたから、ちょっとDfのことを褒めすぎかもしれないけど、カメラをマニュアルライクにじぶんで操ることが楽しい人には間違いなくおすすめできる一台だと思う。もちろん手に入れるときは決して安くはない価格だけど、フィルム購入費や現像代、データ化代はかからないから、どうかしたら一、二年でフィルムのランニングコスト分の費用を相殺できるとも言える(とは言え、フィルムカメラでも楽しむからフィルム代がゼロにはならないんだけどね、僕の場合だと笑)。
まだ使い始めたばかりだから、Dfのある日常についてはこれから先、ブログで少しずつ紹介できたらなと思ってる。でも、ちょっと嬉しいんだよね、またこうしてデジタルフルサイズに帰ってきたことが。それもこれもフィルムカメラに出会ったおかげだし、このDfに出会えたおかげ。フィルムで楽しむも良し、デジタルで楽しむも良し、写真の楽しさが二倍になったような気分なんだ。そっか、そうやって考えるとNikonのカメラに出会ったおかげかもしれないな。