今朝はなんだかデジタルで撮りたい、マニュアルで撮りたいという思いがずっとあって、Nikon Dfにオールドニッコールの標準ズーム43-86mm f/3.5をつけて散歩カメラに出てみた。結論から言うと、めちゃくちゃ楽しかった。
通称ヨンサンハチロク、このレンズはNikonが送り出した国産初の標準ズームレンズで、なるべく高価にならないように、そして何より軽量に仕上げるために、当時かなりシンプルな構造で世に送り出された。だから、言う人によっては“使えないレンズ”とか言われるけど、そのファジーな撮り味に魅せられるファンも多い。僕は完全に後者だ。かなり好きなのである。
そう、僕にとってはオールドレンズらしい曖昧さというか、写りすぎない感じがたまらないんだ。明らかにデジタル用に作られた現代のレンズとは違う、なんというか威張らない感じ。それはこのレンズのキャラクターとも被るんだけど、カメラが撮るんでもレンズが撮るんでもなくて僕が撮る、そういう楽しみを提供してくれるレンズなんだ。
まあ、僕の撮影の腕前のほうは置いといてもらって笑、どこかフィルムを思わせる柔らかさがあるように見えないだろうか。不思議だよね、この時代のレンズたちは。だってカメラは現代のフルサイズ一眼レフなのに、どことなくとはいえフィルムっぽく感じるというのは何なんだろうね。
ヨンサンハチロクは文字通り焦点距離が43mm〜86mmまで2倍しかないのだけど、意外とこの2倍の振り幅は散歩レンズには頼もしい。標準域から中望遠域までということになるわけだけど、僕は絞り開放付近の癖を楽しむ派だから、43mmは積極的に使う。そして、その43mmという焦点距離が絶妙なんだな。
数値的には標準の50mmより7mm広いだけなんだけど、その差はけっこう大きい。フィルムコンパクトを使う人なんかは分かるかもしれないけど、僕が所有するKonica C35なんかは38mmでどちらかというとそういう画角に近いんだ。つまりスナップ中のスナップの焦点距離のレンズ群。50mmよりリアルなんだ。
そうかと思えば、ひとたびズームすれば85mmのポートレート域まで凝視できる。まさに、なんというか人間の視界の中を行ったり来たりできるレンズといえばいいだろうか。このレンズがどこか人間くさいのは、この絶妙な焦点距離にあるのかもしれない。
あとは、なんといってもマニュアルフォーカスであるということ。カメラはDfだったからAE/絞り優先で撮れるんだけど、僕はカメラのほうのセッティングもマニュアルにして、まさにフルマニュアル撮影を楽しんだ。そうしたくなるんだな、ヨンサンハチロクをつけてると。
その分、露出は甘くなるんだけどね、僕の場合笑。でも、いいの、それでもこうしてカメラとレンズに撮られるんじゃなくて、それらをじぶんで操ってカメラやレンズと共同作業で写真を紡ぎ出す感じが楽しいんだ。だって、散歩カメラは撮れる写真より撮る行為が楽しいわけだからね、少なくとも僕の場合は。
そのフルマニュアル撮影がほんと楽しすぎてね。実はフィルムでも撮ろうとフィルムライカとフィルムも一本だけカメラバッグに忍ばせていたんだけど、あまりにDfとヨンサンハチロクて撮るのがおもしろくて、結局フィルムの出番はなかったんだ。フィルム好きの僕にしては相当めずらしいこと。
そういう意味では、失敗も含めて楽しいんだな、ヨンサンハチロクは。このレンズは数千円で買える。いやあ、大人の散財の仕方としては素晴らしくコストパフォーマンスにもすぐれた一品。なにかとお金のかかるカメラ趣味と思われがちだけど、こんなコストでも楽しめることをもっと多くの人に知ってほしいな。
あとはね、こうしたオールドニッコールのレンズたちがほぼすべて使えるNikon Dfが僕はとても気に入っている。つい最近手に入れたばかりなんだけど、世は最新で最強の一眼レフD850の発売に沸いていたわけだけど、僕はそこには目もくれず、このDfを購入した。もう三年ほど前の製品になるのかな、僕は新品を購入したけど中古もあるから当時よりは安く手に入るんじゃないかな。
というわけで、Dfとヨンサンハチロクのマニュアル撮影の楽しさと、その写真たちを一気に載せてみた。やっぱりいいね、カメラは。まさにいろんな楽しみ方をアレンジできて、そして毎回いろんな新鮮な発見がある。こんな懐の深い趣味はなかなかないんじゃないかな。
僕は、つい先日はフィルムカメラのNikon FEにも装着して楽しんだけど、もちろんフィルムカメラとの相性はさらによくておもしろい。こんなカジュアルで、でも恐ろしく楽しめるMF標準ズームレンズを一本持っておくのはなかなかおすすめです。あ、Df同様に、その佇まいもなかなかレトロでかっこいいよ。
こうして写真たちを見るとマニュアル撮影らしく、なんか味が出すぎてるところはあるけど笑、そこにネットを検索すればもっと詳しい使用感と素敵な作例があると思うんで、そちらを参考にしてください。僕のブログでは、その気分みたいなものを伝えられればな、ということで。では、カメラたちとよい週末を☺︎