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人はどうしてこうもカメラに魅せられるのか。特にクラシックな香りがすればするほど、人はその香りに異様に吸い寄せられる。
出逢いは、昼休みになにげなくのぞいたカメラ屋だった。ほんの数分立ち寄るだけの、いつものパトロールだ。
ひと通り店内のショーケースを見渡して、さあ、脳みそも満足したし帰ろうとしたところ、ちょっと見落としていた上段の棚に、このArgus君を見かけたのだ。
たぶん、以前も気にしたことのあるArgusだと思うけど、たしかその時はレンズがあまり綺麗な状態じゃないとかの理由で、購入を見送った記憶がかすかにある。
けれど、同じレンズシャッターでレンズ部を外して簡単に清掃して写りが格段に蘇ったKodak Retina type117のことを思い出して、馴染みの店員さんと「このArgusも意外といけるんじゃないか」と作戦会議。結論として「いってみよう」ということになり、昼下がりの出逢いとなったわけである。
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このArgus A2Bは、レンズ部にも書いてある通りMade in USA、米国製だ。1936年から1941年頃に製造されたようなので、まさに同じ米国製のKodak Retinaなんかと同じ頃に親しまれたカメラだろう。
こう見えて、実は沈胴式である。レンズ部をくるりと回すと、レンズが前に繰り出してくる(これはお店では気がつかず、後から調べて驚いたこと笑)。開放値はF4.5、シャッタースピードは1/150sまでと、なかなかグッとくる。
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お店でテストフィルムを入れて動作確認してる時もちょっとあたふたしたんどけど、Retina type117と同じようにArgus A2Bも安全装置のようなボタンがあり、これを解除することで一枚分のフィルム送りが可能になる。天板にはアナログスライド式の露出表らしきものがあるが、使い方は分からない笑。
基本的な使い方は、なんとYouTubeに使い方をアップしてくれてるオーナーさんがいたんで、ぜひご覧くだされ。
海外のユーザーさんの記事でやっと分かった。
Argus A2Bのピント合わせは2つのゾーン方式。50mm 開放f4.5の沈胴式レンズを繰り出して溝に固定すると6〜18フィート、少し回して溝から解除すると無限遠。なるほど。 pic.twitter.com/EvaZWYvBk8— 記憶カメラ (@KiokuCamera) November 1, 2022
それにしても、その佇まいがクールすぎる。Retina同様、いわゆる一般大衆用のフィルムカメラだったと思われるけど、それでこのクールなデザインというのは、当時のアメリカの豊かさや活況みたいなものが思い浮かぶ。
クラシックなカメラを楽しむというのは、その時代の空気のようなものを感じ、どこかノスタルジックなイメージのもとシャッターを切るという、時空を超える歓びがある。Argusもまた、その香りをプンプン漂わせるのだ。
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フィルムがこれだけ高騰している時代に、こうしてまたひとつフィルムカメラを手に入れるのはいかがなものだろう、ということも意識の中で無くはない。けれど、フィルムを乱発することなく、一枚一枚の余韻を楽しみながら、ジワジワとフィルムのありがたみを感じるのもまた、悪くない。
ただ、あまりにも手元にカメラがたくさんあるんで、少なくとも今年は、もうカメラを手に入れるのは打ち止めにしようと思う。僕にとってカメラは飾る鑑賞アイテムではなくて、使ってなんぼの実用スナップ機なので。
さて、試し撮り用フィルムは何を詰めようか。
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