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2021年の1月半ばの今日、富士フイルムのカラーネガフィルムの代表銘柄ともいえるPRO400Hの販売終了の知らせが飛び込んできた。ここ最近、フィルム価格の高騰は気にしていたけど、まさかPRO400Hの終わりは想像していなかったから、かなり驚いた。言葉もなかったというのが正解かもしれない。
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PRO400Hといえば、豊かな色のりで特にその青の美しさが僕には印象的で、プロ用フィルムといわれる凄さみたいなものは、このフィルムで体感した記憶がある。当時、僕の常用フィルムは業務用100だったけど、感度400で撮りたい時はPRO400Hを選ぶことが多くて、高価だったこともあり、ちょっと特別なフィルムという印象があった。
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富士フイルムの広報発表によると、今回の販売終了は「生産に使用する原材料の一部の調達が困難になった為やむなく生産販売を終了させていただきます。」ということで、こればかりはもう致し方ない。前回、ACROS100が販売終了する時も同じ理由だったと思うけど、その後富士フイルムは材料や製造工程を見直して(OEMかな)、後にACROS IIとして再販してくれた。果たして今回はどうだろうか。
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とは言うものの、現実はPRO400Hの形を変えた再販はなかなか難しいと思う。プロ用ということでポピュラーなフィルムじゃないし、昨今フィルム人気が出てきているとはいえ、世の中全体でいえば確実にフィルム需要はかつてより減っているわけで、富士フイルムも慈善事業じゃないわけだから、採算が中長期にわたって取れないと気合いで再販というわけにはいかないだろう。
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それよりなにより、むしろこれまでPRO400Hが販売され続けていたことが奇跡かもしれないし、相当のフィルム写真好き社員が多いであろう富士フイルムという企業の意地みたいなことも大きかったと思う。そういう意味では、国内唯一のフィルム販売会社である富士フイルムには感謝しかないという思いもあらためて感じるのである。
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こうしたフィルム銘柄の販売終了が続く事象だけをみると、富士フイルムという企業がなんだかフィルム写真ファンらの期待に応えられず寂しく思えてくるけど、僕の最近の印象は少し違う。たしかにフィルム事業を長きに渡り展開するのは営利企業としてはむずかしいけど、そのフィルムの良さをいかにして未来へつなげていくかということに最も強く取り組んでいる企業に思えてきてるんだ。
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僕は昨年末にフィルムシミュレーション「クラシックネガ」で撮りたいと思い立ち、FUJIFILM X100Vを購入した。その後だったかな、富士フイルムの開発陣の方々のフィルムシミュレーションに寄せる思いみたいなものを記事で読んで、僕の思いはクラシックネガのみならず、富士フイルムが思い描くフィルムシミュレーションの世界、そしてそのフィルムカメラライクなプロダクトづくりへと向かっていった。すっかりFUJIFILMのカメラたちに惚れ込んだのである。
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たしかにフィルム銘柄は縮小傾向にあるけど、フィルムに対する熱い思いは形を変えてデジタル時代にますます継承されようとしていると、いま僕は強く体感してるんだ。考えてみると、僕の手元のFUJIFILM機はX100初代機、X-Pro1、X-M1、X-T2、X-E3、X100Vと時代を超えて6台にもなった。フィルムの世界を忘れたくないためにFUJIFILM Xシリーズのカメラたちを使っている、そんな感覚がとても強いのである。
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幸いというか、フィルムの入手についてはまだまだコダックやイルフォードなど、世界に目を向ければフィルム需要の再燃もあるようで、当面は海外ネガフィルムが入手可能な状態にあると思う。問題は価格の高騰が気がかりではあるけど、そればかりはなってみないと分からないし、今はただただ「今だから楽しめるフィルム生活」を謳歌しまくるのみだよね。
そうそう、誰かがTwitterで言ってたけど、実際のフィルムのPRO400Hは終わりを告げるけど、今度はフィルムシミュレーション「PRO400H」になって帰ってくるんじゃないかと。僕もそれはなんか予感がするし、そういうところでフィルム文化の継承に異常にこだわる富士フイルムという会社がまた見れるんじゃないかと期待していたりもする。そう、時代は巡る。そして、期待もまた巡るのである。
追記)その「PRO400Hを再現したフィルムシミュレーション」というのは、実はすでに存在していて、「PRO Neg. Hi」がそうなんだと富士フイルムのX Summitで知る。以来、僕はかなり意識してこのフィルムシミュレーションを使って撮っている。不思議と心が少し満たされているじぶんがいる。