
僕がフィルムで撮り始めた頃は、FUJIFILMの業務用(記録用)100の24枚撮りが一本200円とかで売られていて、10本セット2000円で「きょうは大人買いだ」なんて言ってたけど、それからするとたしかに現在のフィルム価格はかなり上がった。
FUJIFILM業務用100がこの世から消えてからは、安いネガカラーフィルムといえばもっぱらKodak Gold200とかKodak Color Plus200が一本600円程度と安価だったのでよくお世話になっていたが、それらのフィルムも現在は一本1500円ほどするからね。
これに現像代がどうだろう、一本1000円くらで、スキャニングデータ化してスマホ転送とかにすると800円くらいで、合計1800円くらいだろうか。フィルム代と足すと、カラーネガ写真36枚を仕上げるのに3300円くらいかかるから、フィルム写真を撮るのに一枚あたり90円ちょっとチャリンチャリンいってるわけだ。



これを高いと見るか安いと見るかは、その撮影頻度や枚数にもよると思う。つまり、昨日も僕はCanon F-1でフィルム写真を数枚撮っていたが、まあ、たまにこうして撮るくらいなら、実際はそれほどのコストでもない。小一時間で20枚くらい撮ったと思うが、さっきの計算だと締めて1800円くらいだ。たまにこの程度の出費ならバチは当たらない。
それでいて、脳みそのほうはとても活性化する。癒されたり、イマジネーションが蘇ったり。アナログ写真とアナログカメラというのは、人間の五感をとても刺激してくれるのだ。しかも、これは撮影時の話で、フィルムをぜんぶ撮り終えたら、現像後にアナログ写真と対面でき、2倍楽しいというわけだ。



お得とは言わないが、損するという感覚でもない。昔が極端にフィルム関連費が安すぎて、いまが適正価格なのかもしないしね。もしこれが、得られる価値と法外にかけ離れていたら、さすがに若い人たちがこんなにフィルム写真を楽しんでいないと思うので。
僕もふだんはすっかりデジカメで撮る日常になったが、誤解を恐れずに言うと、デジカメで撮っている時もアナログ写真やアナログカメラの感覚を求めているし、それが本人的にはとても楽しかったりする。その露出感覚やマニュアル撮影感覚の元となっているアナログカメラやアナログ写真にたまに触れるのは、じぶんの写真感覚のチューニングになっていい。



フィルムカメラは、根気よく探せばいまでも安くていいモノはたくさんあらからね。どんどん高価格化する最新ミラーレスカメラのコストを考えると、手頃なフィルムカメラでほどよいフィルム枚数を楽しむのは、決して大きな散財というわけでもない。
まだフィルム未体験という人とか、そういえばしばらくフィルムから遠ざかっているという人なんかは、「たまに」というくらいのサイクルでいいのでフィルム撮影を楽しんでみてはどうだろう。それはそれは、ここに書ききれないほどのジワジワとくる感動がきっとあると思う。フィルムとは、人類が生み出した発明のなかでもかなり画期的な存在なのだ。