![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/06/5F65C806-C921-4722-90D8-610DEFB4A116.jpeg)
僕が夜もフィルムで撮り始めたのは、ここ数ヶ月のこと。それまではフィルムで夜スナップが撮れるなんて僕の中にイメージがなかった。そんな固定概念をひっくり返すきっかけになったのが、バルナックライカIIIaと、秋山泰彦さんのコラム写真集「モノクロ×ライカ」の出会いだった。
その写真集には夜のかなり暗がりで撮られたフィルムライカによる写真がたくさん出てくる。僕的にはこの写真集との出会いは目から鱗だった。「え?フィルムで夜のスナップが撮れるんだ」という軽い衝撃。それまでの僕は、高感度ではないフィルムでまさか夜の街を撮ることができるなんて思ってもいなかった。ところがこの撮影者の秋山さんいわく、感度400のフィルムがあればミラーショックの小さいレンジファインダーのライカなら十分、夜の街のスナップが撮れると書かれていた。
じゃあ試してみようと、Lomography400やNatura1600をライカに詰めては、夜の街へ繰り出し試し撮りをする日々がしばらく続いた。そうして気がついたのは、感度100でも撮れるくらい、たしかにレンジファインダーのカメラなら夜スナップも十分いけるという事実だった。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/06/3BC83BB5-33AD-468F-9BDB-3B1EF7E56FA8.jpeg)
以来、僕の写真観は大きく変わった。仕事終わりの夕刻から帰り道がてら夜スナップを撮るようになる。そのうち感度100のフィルムでも息を殺して撮りさえすればちゃんと写ることに気づき、その夜スナップ熱は結局、デジタルライカM-P(typ240)を購入するに至り、なんとなく僕のスナップのかたちができあがっていくことになる。
この一枚目の写真に至っては開放F3.5と決して明るいレンズではないRollei35で撮ったもので、ついにはフィルムも昼間と同じ感度100で撮るようになった。シャッタースピードはss1/50くらいかな、それで十分撮れることに気づいてからは、夜スナップの撮影量が増えていった。F3.5でもこれだけ撮れるんだから、より明るいレンズならもっと確実に綺麗に撮れるだろう。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/06/FC400081-D31F-4A81-896C-4B5711C3D649.jpeg)
過去に高感度フィルムのNatura1600で夜スナップを撮ったことはあるし、Lomography400なんかでも試し撮りをしたことはある。けれど感度100でも撮れるとわかってからは俄然、業務用100を詰めて撮ることがほとんどになった。これもまた僕にとっては壮大な実験だった。近ごろはLeica M3で撮ることもあるし、それもすべて手持ち撮影、それでもけっこう綺麗に写るLeica IIIaとRollei35はすっかり僕の夜スナップの相棒になった。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/06/1F83F4F2-60AC-4757-AE83-093A903416E1.jpeg)
その秋山氏のコラムを見ると、ss1/8までは撮れるようなことを書いてある。僕にとっては未知の世界だ。けれど、カメラをしっかり両手で固定さえすればシャッターを切った時のショックもほぼなく、たしかにレンジファインダーならいけるのである。夜にスナップが撮れることで、僕のカメラとの時間はかなり増えたし、スナップのバリエーションも増えた。フィルムで夜スナップを撮ることが日常であり楽しみになったのである。今度はリバーサルで夜スナップを試してみたいとか次々と興味も高まる。みんなはどうしてるのかな、夜スナップ。高感度フィルムにするか、それともカメラ自体をデジタルにするか、好奇心は尽きないのである。
![](https://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/02/C68EB21F-8546-4327-B45F-23F1D32AD2B5-320x180.jpeg)