2025年の大阪万博に持って行くフィルムカメラ、考えてみた。

Konica C35, Hexanon 38/2.8

何はともあれ2025年の大阪万博開催決定おめでとうございます。Twitterなんか見てても大阪ではごっつ盛り上がってることがうかがえて、こちらまでうれしくなる、そんな日曜日の朝。以前の大阪万博はさすがに生の記憶はないんだけど、昔小さかった頃に自宅の写真アルバムの中に太陽の塔の写真があったのはかすかに覚えてる。あの写真どこに行ったのかな。と、そんなことを考えていたら、今度の大阪万博は無性にフィルムカメラを持って撮りに行きたくなった。Twitterでもそんな気分の人たちがいるみたいだ。

その頃までフィルムが普通に売られているかどうかは正直分からないけど、その願掛けも兼ねて、持っていくカメラを手持ちの機材の中から考えてみた。

まず筆頭は1枚目の写真のKonica C35かな。Twitterのフォロワーさんが書いてる通り、前回の大阪万博より少し後に登場したカメラなんで、前回の大阪万博で使われたであろうカメラではないんだけど、僕の中でKonica C35は「ザ昭和の大衆的カメラ」という印象が強いから、このカメラで何気ない日常の一コマを撮ってみたいという思いがある。ほぼシャッターを押すだけのコンパクト大衆的カメラといってもそこは伝説の小西六コニカの名玉ヘキサノンだから、シビれる写真が撮れることは間違いない。うん。

Konica FS, Hexanon 52/1.8
Nikon F2, Ai 35/2.8

もしくは、もう少しゆっくりじっくり大阪万博をおさえるなら、一眼レフのKonica FSかNikon F2でどうだろう。Konicaはやっぱり僕の中ではいちばん昭和の大衆的イメージがあるから、一眼レフでも筆頭のチョイス。この贅沢なピアノブラック(どなたかが羊羹ブラック?とも教えてくれた)の光沢が21世紀の太陽の塔の下で輝く様は想像しただけでたまらない。

それと対抗馬はやっぱりニコン。僕の手持ちでいえばブラックシップ機のNikon F2だ。Konica FS同様ちょっと重くはあるけど、昭和を代表する世界のNikon機でもあるから、この大阪万博という国際的祭典には何よりもふさわしい風格かもしれない。あの大きく甲高いシャッター音も、万博でごった返す会場の中なら辺りを気にせずバシバシ撮れそう。実際、F2とAuto 50/1.4の組み合わせなら、シビれるほど美しい大阪の街が撮れると思う。

Nikon F6, Ai AF 50/1.4D
Voigtlander Bessa-L, Snapshot-Skopar 25/4

もっとスパンスパン速写的にスナップしてくんだったら、Nikon F6とかBessa-Lかな。Nikon F6は21世紀になって登場した最後のフィルムフラッグシップ機だから時代的には新しいけど、その分オートフォーカス機能や露出計の精度も抜群だから、とにかくスピーディにどんどんシャッターが押せる。なんだったらリバーサルフィルムで大阪万博の姿を残せるというのもある。大量のフィルムを持ち込んで連写モードで酔いしれるというのもオツだよなあ。

あと速写ということでいえば、いっそ目測で撮るBessa-L。広角25mmのSnapshot-Skopar 25/4で少し絞れば、広大な万博会場の様子をとにかくダイナミックに撮ることができる。Bessa-Lも時代的には前回の大阪万博より後の製品だけど、このヴィンテージ感たっぷりのBessa-Lなら、21世紀版の大阪万博ならむしろちょうどいいクールさを発揮するかもしれない。

と、ここまで書いて大事な一台を忘れていた。スパンスパン撮れる上に、さらに2倍の量が撮れてしまうあのカメラ。そう、ハーフサイズのOlympus PEN-EE2だ。

Olympus PEN EE2, Zuiko 35/2.8

そうだ、ハーフサイズPENならもう言うことはないかもしれない。まさにシャッター押すだけで72枚も撮れる。業務用100フィルムを5本も持ち込めば撮りきれないほどの大阪万博の姿をスナップしまくれることだろう。これは痛快、ズイコーで撮る大阪の空と大地はとんでもなく美しいオリンパスブルーで記憶されるだろう。いやあ、筆頭はKonica C35よりPEN EE2かもしれないな。そして…

Rolleiflex Standard, Rollei35

…番外編ということでいえば、中判二眼レフ、Rolleiflex Standardかな。国産カメラじゃないし、速写とは正反対の機材たけど、後世に残したい写真とするなら、圧倒的な描写力の中判で撮るというのは意外とアリかもしれない。ウエストレベルのファインダーをのぞきながらとにかくゆっくり撮る渾身の12枚。大量には撮れないけど、ブローニーフィルムを10本も持ち込めば、酸欠になるくらい満足ゆく撮影タイムを楽しめることだろう。おさえでRollei35も持っておけば鬼に金棒というもんだ。

まだまだ持って行きたいカメラはあるけど、まずはこんなところが候補かな。大阪万博までまだあと7年あるから、正直その頃まで普通にフィルムが売られているか少々心配なところもなくはないけど、なんとか国の威信をかけて富士フイルムさんがやってくれると思うんだ、フィルムの継続販売。なんだったら今度の大阪万博は映像装置とメディアの祭典でもいいんじゃないかと思うし、そうすると全国からフィルムカメラファンたちが思い思いの機材を持ち寄って大阪万博と大阪の街を撮りまくる祭りであってもいいと思うんだ。世界へ発信するのはなんといってもカメラが不可欠。大坂なおみ選手と共に「世界のOSAKA」をアピールするチャンスかもしれない。

というわけで、大阪万博開催決定の知らせと共に、それを撮るカメラたちを妄想してみたけど、あなたの妄想カメラはどれだろう。それを実現するためにはとにかくフィルムカメラだけでなく、フィルムそのものが残り続けるのがなんといっても最大の条件。もちろん、デジカメで撮る大阪万博でもいいんだけど、なんというかフィルムが似合いそうな今度の大阪万博の再来。また半世紀、いや一世紀先の未来の人たちのために、2025年の大阪をしっかりフィルムに焼き付けようじゃないか。

フィルムライクなカメラ、という趣味。

Rolleiflex Standard etc.

特にポリシーとかあるわけじゃないんだけど、僕の手元に集まってくるカメラやレンズたちに何か共通点があるとしたら「フィルムライクに撮る楽しみ」ということかな。ライカたちしかり、Nikon Dfしかり、Bessa-Lしかり、一見共通項が無さげなカメラたちも僕の中にはそうした好みですべて繋がっている。

フィルムが好きだけどデジタルでも撮る。そこの垣根は無くなった。フィルムとデジタルでは描き出す写真ははっきりと違うけど、そこは違うことを前提に、でもカメラで撮るという行為においてはすべてフィルムライクに楽しめてる。あと意外と大きいのは、デジカメで撮ってもその場で撮れた写真をモニターで確認することはほぼ無いから、自宅に帰ってMacBookにつなぐまでは未現像状態みたいなもの。撮影する時のリズムはフィルムカメラとほぼ一緒、というのが僕のスタイルではある。

でもどうだろう、フィルムライクな写真好きかと言われれば、僕の場合はフィルムライクな“カメラ好き”なんだよね、やはり。クラシカルでヴィンテージ感のあるカメラの佇まいが好きだし、それぞれのカメラが持つ個性ある操作感が好き。あととにかくシャッターを切る行為が大好き。その嗜好性がいろんなカメラたちを「じぶんの目と手で試したい」という好奇心につながり、コレクションしてるわけじゃ決して無いんだけど、いろんなカメラたちが手元に集まってしまうんだな。困ったね笑。

けれど、そういう趣味の人が意外といることがTwitterやブログのコメント欄なんかを見てると分かって、なんかうれしいというか、ちょっとホッとしたり笑。そこは昭和生まれの男たちが抱く共通した何かなんだろうなあと妙に共感したり。

僕は街中のスナップも撮るし、愛犬との散歩でなんてことない草花の写真も撮る。誤解を恐れずにいえば、被写体はなんだっていいみたいなところもある。カメラで撮るという行為がまず楽しみの前提で、その上で家族の思い出を残せたり、都市の景観の移り変わりを記憶できたり、季節の移り変わりを体感できたりと、カメラと写真を二倍で楽しめている感覚がとても心地いいんだ。

カメラというのは、手にするとなんか撮らなきゃと少々気負ってしまうところがあって、僕も最初はなんか撮影計画みたいなことを考えたりしてたけど、今は「撮ろう」ということよりも「いつもカメラを持ち歩いておこう」という気分。持ち歩いておけば自然と数枚ずつ撮るし、後から振り返って写真を見た時も、頭の中に薄っすらとしか残っていない記憶の断片をつなげる役に立つ。そういう意味では、僕はアマチュア“写真”愛好家ではなくて、アマチュア“カメラ”愛好家なのかも。コレクターじゃなくて、シャッターを切るほうの愛好家ではあるけれど。

僕とフィルムと夜スナップについて。

Rollei35, Tessar 40/3.5, Fujifilm 業務用100

僕が夜もフィルムで撮り始めたのは、ここ数ヶ月のこと。それまではフィルムで夜スナップが撮れるなんて僕の中にイメージがなかった。そんな固定概念をひっくり返すきっかけになったのが、バルナックライカIIIaと、秋山泰彦さんのコラム写真集「モノクロ×ライカ」の出会いだった。

その写真集には夜のかなり暗がりで撮られたフィルムライカによる写真がたくさん出てくる。僕的にはこの写真集との出会いは目から鱗だった。「え?フィルムで夜のスナップが撮れるんだ」という軽い衝撃。それまでの僕は、高感度ではないフィルムでまさか夜の街を撮ることができるなんて思ってもいなかった。ところがこの撮影者の秋山さんいわく、感度400のフィルムがあればミラーショックの小さいレンジファインダーのライカなら十分、夜の街のスナップが撮れると書かれていた。

じゃあ試してみようと、Lomography400やNatura1600をライカに詰めては、夜の街へ繰り出し試し撮りをする日々がしばらく続いた。そうして気がついたのは、感度100でも撮れるくらい、たしかにレンジファインダーのカメラなら夜スナップも十分いけるという事実だった。

秋山泰彦氏の写真集「モノクロ×ライカ」

以来、僕の写真観は大きく変わった。仕事終わりの夕刻から帰り道がてら夜スナップを撮るようになる。そのうち感度100のフィルムでも息を殺して撮りさえすればちゃんと写ることに気づき、その夜スナップ熱は結局、デジタルライカM-P(typ240)を購入するに至り、なんとなく僕のスナップのかたちができあがっていくことになる。

この一枚目の写真に至っては開放F3.5と決して明るいレンズではないRollei35で撮ったもので、ついにはフィルムも昼間と同じ感度100で撮るようになった。シャッタースピードはss1/50くらいかな、それで十分撮れることに気づいてからは、夜スナップの撮影量が増えていった。F3.5でもこれだけ撮れるんだから、より明るいレンズならもっと確実に綺麗に撮れるだろう。

Rollei35, Tessar 40/3.5,Fujifilm 業務用100

過去に高感度フィルムのNatura1600で夜スナップを撮ったことはあるし、Lomography400なんかでも試し撮りをしたことはある。けれど感度100でも撮れるとわかってからは俄然、業務用100を詰めて撮ることがほとんどになった。これもまた僕にとっては壮大な実験だった。近ごろはLeica M3で撮ることもあるし、それもすべて手持ち撮影、それでもけっこう綺麗に写るLeica IIIaとRollei35はすっかり僕の夜スナップの相棒になった。

Rollei35, Tessar 40/3.5,Fujifilm 業務用100

その秋山氏のコラムを見ると、ss1/8までは撮れるようなことを書いてある。僕にとっては未知の世界だ。けれど、カメラをしっかり両手で固定さえすればシャッターを切った時のショックもほぼなく、たしかにレンジファインダーならいけるのである。夜にスナップが撮れることで、僕のカメラとの時間はかなり増えたし、スナップのバリエーションも増えた。フィルムで夜スナップを撮ることが日常であり楽しみになったのである。今度はリバーサルで夜スナップを試してみたいとか次々と興味も高まる。みんなはどうしてるのかな、夜スナップ。高感度フィルムにするか、それともカメラ自体をデジタルにするか、好奇心は尽きないのである。