![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/AA2D2BE0-2A1E-4B77-820C-11A44B58CC74.jpeg)
世の中の流れとちょっと違うミラーレス、PEN-Fという選択。〈レビュー〉
いまカメラの好きの人たちの中では空前のミラーレスブームである。先行していたフルサイズ機のSony α7系に続いて、ついに一眼レフ2強が追撃開始。Nikon Z7 & Z6、さらにCanonからはEOS Rも登場。そう、世の中はフルサイズミラーレスブームなのである。そんな最中にこんな行動をとる僕はつくづく時流に乗れていないと再認識するわけだけど、僕はめでたくマイクロフォーサーズのミラーレス機、Olympus PEN-Fを昨夜手に入れることとなる。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/1CE8ACBB-52CC-4F00-A82C-8E6CD7624D50.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/AB4F8E09-524C-45AB-AC0F-0E60A0BCA086.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/695A6CBF-A032-4A72-8190-2FBCC691CBFC.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/76A8C503-D140-4FB4-819F-7F0EC803400E.jpeg)
布石はここニ、三週間かな。フィルムを現像しにいつものカメラのキタムラへ数回通うなかで、待ち時間になにげなく触った数台のうちのひとつがこのPEN-Fだったのである。このネーミングはさすがに僕も知っている。フィルム時代にハーフサイズの一眼レフカメラとして、その独特のデザインフォルムが神格化されたとも言っていい名機。それとまさに同じネーミングでこのミラーレス機は登場してきたわけである。
かつてのPENシリーズといえば伝説の設計者である米谷氏の存在が圧倒的で、僕もフィルムカメラのOM-1NとPEN EE-2を持っているから、そのカメラたちに込められた米谷氏の美学が尋常でないことは分かる。その意思を受け継いで、オリンパス80周年にあたる2016年に文字通り気合を入れて投入されたのが、このデジタル版 PEN-Fなのである。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/8EDD8921-99ED-496C-A02C-AB538BCECA49.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/8B359AF3-AECF-4619-A6AB-FBC6082596DC.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/6BC2014D-68E6-4EFC-898A-67FE4595247C.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/E1283F69-E9EF-4DB3-8E10-A029C1CA1B43.jpeg)
そのオリンパスのクラフトマンシップは現代でも相当なもので、このPEN-Fのボディにはネジがまったく見当たらない。デザイナーが隠そうとしただけではなく、それを開発陣たちが本当に製造段階まで思想を持ち込んで実現してしまった。ダイヤル類なども削り出しの工芸品のような出来。僕はたまたまお店で触れた時にちょっと衝撃を受けたわけである。
正直、なぜ今までこのPEN-Fの存在に気がつかなかったんだろうと不思議に思ったくらい。けれど、それはもしかしたら必然でもあったのかもしれない。フィルムカメラで撮るようになって、この夏にOM-1NとPEN EE-2に出会うまではここまでオリンパス機を意識していなかったから。けれど、このオリンパス機たちの出会いは僕が想像する以上にセンセーショナルで、僕の深層心理の中に色濃くこのブランドの美学が宿り始めていたのかもしれない。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/16175976-2F56-49FF-8BE4-2667971CC4FB.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/CFE4C750-1775-449A-B884-4FDB0509070F.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/5BC0A752-553D-4C8D-BEC6-662DACAA2CE6.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/1AAEDA3D-98E7-4D24-A3D8-D2564FA09EDF.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/B0BF77DF-352C-49A4-9189-29E9F1773F45.jpeg)
最初にお店で触れた時にはそのデザインに釘付けになったのはもちろんだけど、シャッターを切った時の音とフィーリングにとても驚いた。え?、これはNikonやCanon、FUJIFILMなんかを凌ぐエモーショナルなものじゃないかとさえ思った。その新鮮な驚きが殻を破ったというか、僕はその後、現像でお店に寄るたびにこのPEN-Fを触ることになる。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/81E46874-0F93-48CE-AC2B-196BD73F3B4D.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/050C10E7-70E0-41DD-A51D-486919D3EC69.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/8CA19D96-D980-4257-BF47-354CBA401DDD.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/05D8E027-A477-4BED-91F4-60B7BFE57410.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/CF9B8036-4BDC-4092-B9DC-66429835D210.jpeg)
触れば触るほど惹かれていき、見た目では分からない性能をネットで調べ始める。なんと驚くことにその小さなフォルムの中にボディ内5軸手ブレ補正を内蔵している。そしてシャッタースピードは1/8000。だんだんとこのPEN-Fがとてもハイスペックなフラッグシップ機のひとつであることに気がつき始める。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/F3107A0B-EC6C-44FF-B63B-C9E921E17595.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/7269D82F-5CA6-44ED-8D51-A007A3A6881B.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/4E70FAB9-2903-4499-9DCD-B708BB0B1934.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/24E17E5F-88C8-4A56-BE48-4A153AB61E69.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/AB3C1865-39C6-41FF-8F53-5631AD8738BB.jpeg)
ボディカラーはかつてのPEN-Fを思わせるシルバーと、精悍なブラックがあったけど、僕は直感的にブラックボディに魅せられていた。デザイン的にもそうだけど、街中でスナップを撮るんでなるべく目立たず雑踏に紛れることのできるブラックボディは必須の“性能”であったりする。色選びは必然だった。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/2B155285-D9E3-4295-A737-C24DB47CDE67.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/AE533511-F215-4D1D-B0D4-1CDD25F83255.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/11A1434E-AC13-418B-A33D-34F83DB30C89.jpeg)
そしてレンズ選び。お店のデモ機にはレンズキットである単焦点 M.Zuiko digital ED 12/2がついていた。35mm換算で焦点距離24mmの広角レンズだ。フィルムカメラでZuikoにはとんでもなく良いイメージしかなかったから、AFでも使える単焦点はひとつ持っておきたかった。オールドレンズ専用機にする手もあったけど、意を決してTwitterでカメラ界の大御所の赤城さんにアドバイスをお願いしたところ、このレンズは買いだとも分かり、一緒に購入することとなる。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/A2655DF4-F33E-4815-8F25-D0EF0DF1102F.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/C82611B7-8D4B-45A1-A355-0A05094EA6C7.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/EAA88E14-5960-4AA7-9543-777EAE9CCF68.jpeg)
ここまで作例的に載せてきた写真たちはすべてこのレンズで撮ったものである。このPEN-FとM.Zuiko 12mmの組み合わせだけど、その撮影フィーリングは最高というほかない。シャッターフィール、そしてレンズのヘリコイド的タッチ、気持ちよく決まるオートフォーカス、軽量コンパクトな恩恵でもある使い良さは、ちょっと軽い衝撃なくらいスパンスパンとスナップを撮り続けることができる。僕的には圧巻だと感じた。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/E7524AA1-7BCF-4083-8B1A-C10017BF9F17.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/A167ECE7-E8E9-4B4A-9C8F-C7787FE584FF.jpeg)
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/26749D36-E547-4027-AF14-67E9E459E4C3.jpeg)
一眼レフやレンジファインダー機を多用する僕にとって、マイクロフォーサーズ機は印象としてどこか本格的ではないライトなカメラと思っていたところがあるけど、きょうを境にそのあたりの先入観は完全に消え去った。このPEN-Fはとんでもなく玄人好みのカメラなのである。少なくともこれだけフィルムカメラを愛する僕がデジタル機として不満を感じないレベルは、僕が常用するM型デジタルライカとNikon Dfに匹敵するし、スナップシューターとしての身軽さで言えばPEN-Fが一躍トップに躍り出たといっていい。
![](http://kiokucamera.com/wp-content/uploads/2018/10/AD738FAD-B1C3-4489-A385-F2C0B78ED44B.jpeg)
詳しい使い心地はこれからおいおいブログでふれていこうと思うけど、現時点で間違いなくいえるのは、このPEN-Fはスナップ好きな人にはイチ押しのカメラ性能であること、そしてプロダクト好きの人にとってもとんでもなく満足感の高い工芸品レベルの仕上げであるということ。言葉と写真だけで伝えるのは困難なくらい、手に触れた者だけに訴えてくるエモーショナルな性能の塊のようなカメラなので、ぜひ一度、お店でさわって想像力を掻き立ててほしいと思う。明日のじぶんの新しいカメラスタイルを思い浮かべて。
★今日の新品/中古情報をチェック!