三週間ほど前に、現像で立ち寄ったカメラ屋のショーケースで見つけた国産中判カメラ Kowa SIXの試し撮り現像がようやくあがってきた。見た目のクオリティの素晴らしさからはちょっと信じられないような安値で売られていたんで、もしかしたら撮影の方は厳しい個体なのかなあと思ったりもしていたんだけど、結果は写真の神様の存在を信じるものとなった笑。
僕が所有する他の中判カメラと比較するなら、最も古い1930年代のローライフレックス・スタンダードとノンコート・テッサーの写りよりかなり鮮明でモダン。ハッセルブラッド500C/Mとプラナーの写りとも遜色ない描写といっていいんじゃないだろうか。普通にこうして使えると分かったことがとにかく嬉しい。写真の神様、ほんとに「ありがとう」って感じだな。
実は国産の中判カメラは初めてで、しかもブロニカとかは聞いたことはあっても、コーワシックスなんて存在は知らなかったし、そのコーワがあのコルゲンコーワのコーワ製なんてことにもほんと驚いた。けれど、そのデザインも、しっかりとした各部の作りも、このカメラが只者じゃない感じはその佇まいからプンプンと伝わってくる。まさに僕は、そのオーラに瞬殺で心を奪われて購入したのである。
そんな直感だけを頼りに手に入れたKowa SIXなんだけど、ここまでしっかり仕事もしてくれるなら、もう何も言うことなはないだろう。コーワ万歳!、日本製中判カメラ万歳!、そんな気分で一杯である。
個体そのものを生でお見せできないのが残念だけど、ほんとに各部の作り込みのクオリティの高さは素晴らしいの一言。もし写りに支障があった時はインテリアとしてでも十分納得できると、手にしたくらいだから。それがこうして期待以上の写りを披露してくれたことに、ほんとジワジワと歓びが込み上げてきている。
季節はこれからリバーサルの晩秋へ。次はVelvia100を詰めて連れ出そうかな、この日本の工芸品のようなKowa SIXを。一人で、静かにかつ熱く、風景に語りかけるように撮るのが似合うカメラだと思うんだ。ボディデザインはドイツ人が施したと聞いたけど、そこには日本のカメラ技術への敬意みたいなものを感じずにはいられない。とても人間的なカメラでもあるんだ。