まぶたにまぶしさを感じて目を開けたら、ベッドの灯りを点けたまま寝落ちしていたようで外はまだ暗かった。時計を見たら4:36am、またもやこんな夜明け前に目が覚めてしまった。休みの日にかぎって早朝に目が覚める癖というか習慣は、子どもの頃から変わらない。ロードバイクに乗るか、息子と出かけるか、それともライカと森へ行くか。平日5日間の仕事脳から解放されて、じぶんらしい週末に帰ることができるというワクワクした気持ちがこうして必要以上に早く目覚めさせるのだろう。
平日でもこの時間の住宅地は静かだけど、週末はさらに車の通りもなく無音状態で、音楽も鳴らさずこの時が止まったような部屋の中でブログを書く。思えば、この春はいつもの年より少し真新しいスタート感がある。それはたぶんフィルムを始めたから。3月の初めにたまたま立ち寄ったカメラのキタムラでショーケースに入っていたNikon FEと目が合う。なぜ、ふだんは立ち寄らない中古カメラコーナーに立ち寄ったのかはよく覚えていないけど、たぶん心のどこかでフィルムをやろうかなと思い立っていたのだと思う、いま思うとだけど。そして、一目惚れし、一緒に家へ連れて帰る。それ以来、Nikon C35が増え、しばらくしてLeica M3が家族になる。ふだん持ち歩くスナップ用カメラはGRからC35に変わり、モノクロ一色だったInstagramはフィルム色へと様子を変えた。読む本も写真関連の本になり、近場で写真を撮りに行けるポタリング用の自転車も手に入れた。そして、意識はどこか新しい探求へと動き出した。
世の中は日々劇的だけど、じぶんの身の回りの世界というのはそれほど劇的なものではなく平凡な日々になりがちだ。平凡であることはそれはそれで小さな幸せではあるけれど、限られた人生の時間のなかでできれば少しでも多くの変化や挑戦、学びみたいなものを経験できたほうがいい。この歳になって本当にそう思う。人生はそれほど長くはない。そんな変化を起こす導火線に、カメラはいい。それもフィルムカメラはいい。ひたすらデジタル化されていく世の中を巻き戻すおもしろさ、そしてオートではなく、じぶんの手でやり方を模索していく手作り感が日常に生まれる。そんなことを考えながら、ライカのフォルムを眺め、空シャッターを数回切る。手と目、脳が直結して、とても心地よい時間が訪れる。さて、鳥がさえずり始めた。フィルムを入れようか。待ちに待った土曜日の朝がやってきた。