写真とは

撮り手と見る者の共同作業で完成するモノクロ写真。

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以前、モノクロとはカラーで見るより肉眼に近いというようなことをポストしたことがあるんだけど、モノクロ写真というのはつまり、撮り手が差し出す未完成なつけいる隙のある写真に、見る者がオリジナルの色を重ねてみて、初めて完成するような写真なんじゃないかと思う。見る者はじぶんの想像をそこに重ねるから思い入れが強くなる。それが人がモノクロ写真に強く惹かれる理由なんじゃないか。

広告のコピーなんかは昔よく言われたのが「答えを書いちゃダメなんだ。問いを書かなきゃ」と。コピーを読んですんなり納得する、つまり最初から答えがまんま書いてあるようだと読む人は引き込まれない。そこに、読み手が思わず考えさせられる、つまり読み手も共同作業に没入する隙や問いかけがあってコピーは強くなるし、読み手のイマジネーションをエネルギーとして取り込むことができると言われた。

モノクロ写真もそういうところがあるんじゃないかな。撮り手はなんでモノクロで撮ろうと思ったのか。ここに描かれたグレーは実際は何色をまとっているのだろうか。そこにはどんな光が差してどんな風が吹いているのか。モノクロ写真は見る人一人ひとりのイマジネーションによっていかようにも表現のあり方を変える。現実にはモノクロの世界は存在しないから、見る者はみんなそれぞれの引き出しや想像によってその光景に色や情感をのせる。つたない表現かもしれないけど、それが僕の中のモノクロ写真の強さとは、だ。

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