ミラーレスとアダプターがひろげる、可能性という未来。
これはプロダクトとしてミラーレスが新しくて未来のもので、一眼レフが古くて過去のものと言っているわけではない。ただ、ミラーレスがカメラ&レンズ界の可能性をひろげる度合いが格段に高いのは確かだ、という話である。
というのも、ミラーレスボディなら基本、マウント規格に縛られることなく、過去・現在・未来のレンズを楽しむことができる。これは、カメラが誕生して以来、きっと誰もが夢見てきたことであろう。事実、ミラーレスがこの世に登場したことで、それまで過去の遺物になっていたオールドレンズ たちが息を吹き返した。過去のレンズが現在の経済を回す存在へと返り咲いたのである。
僕はといえば、いま平日はFUJIFILM X-E3にアダプターを介してColor-Skoparクラシックタイプをつけ、週末はNikon Z6にヤシコンPlanarをつけて、時空を超えたレンズとボディが創り出す描写を楽しんでいる。それは写真の写りばかりでなく、ルックスという点においても相当クールで心弾む現象なのである。
APS-CセンサーのX-E3とフルサイズセンサーのZ6を持っていれば、大抵のレンズの描写を手軽にデジタルで楽しめる。焦点距離1.5倍の差がむしろバリエーションとして興味深く、手持ちのフィルムカメラ用レンズの楽しみ方として、Z6用のアダプターを増やすか、それともX-E3用のアダプターを増やすか、嬉しい悩みに苛まれているくらいである。
もともと僕をデジタル×オールドレンズへ駆り立てたのはライカだった。M型デジタルのボディにフィルムライカたちのレンズを装着できることは、それまでオールドレンズを「フィルムカメラ用の過去のもの」としか捉えていなかった認識に軽い衝撃を与えたのである。これは過去じゃない、むしろとても未来的だという意味で。
もちろん、それ以前にもNikonのデジタル一眼レフDfにフィルム時代のオールドニッコールを装着して楽しんでいたけど、それはあくまでFマウント専用機であり、Nikonというブランドの世界に限定した楽しみ方であった。それがライカというブランドにもひろがり、やがてニコンやライカ以外のオールドレンズにもひろがっていったのである。マウントアダプターによってね。
アダプター遊びは今に始まったことじゃなくて、マイクロフォーサーズのPEN-F、APS-CのFUJIFILM X-E2、X-Pro1でちょこちょこ試してきたんだけど、結果フルサイズミラーレスのZ6を手にしたことでカメラに対する可能性の関心度が上がったんだろうね。GRIIIを手放してまでAPS-CのFUJIFILM X-E3を再び手に入れたのも、そのカメラへの可能性を求めた熱量の証だと思う。
カメラはスマホカメラに押されてジリ貧だと言われる世の中ではあるけど、このミラーレスとアダプターがもたらす可能性は、僕は案外とてつもない破壊力を秘めてるんじゃないかと考えている。この組み合わせによってIT時代のカメラ産業革命が起こるんじゃないかとね。大げさかな、いや、僕は絵空事とは思わないし、フィルムの復活すらもミラーレスとアダプターの隆盛にかかってるんじゃないかと考えている。どうだろう。