気がつくと僕の手元には三台の120中判カメラが揃っていた。手に入れた順に、Rolleiflex Standard、Hasselblad 500C/M、そしてKowa SIXだ。
いちばん直近で手に入れたKowa SIXの試し撮りも無事に終えて、いよいよ僕の中では三台揃い踏み、いざ中判カメラの季節到来といった気分なのである。
奇しくも季節は晩秋。日増しに空気が冷え、辺りの樹木も明らかに色づき始め、天然のグラデーションが姿を見せ始めた。そう、ここから燃えるような秋が始まるのである。
そうなると、俄然持ち出したくなるのがリバーサルフィルム。あの湿り気を帯びた豊潤な色合いの描写で秋の色を記憶する。ウエストレベルのファインダーの中に浮かび上がる天然のアートのような光景、しかもその綿密な世界を中判フィルムに写し込んで得られる描写は、まさに中判カメラの出番。深まる秋こそ、リバーサルフィルムと中判カメラの季節なのである。
ローライな秋にするもよし、ハッセルな秋にするもよし、コーワな秋にするもよし。兎にも角にも中判カメラにベルビア100を詰めて出かければ、そこにはフィルムカメラらしい至福の時が待っている。晩秋と中判カメラとリバーサルフィルムとは、写真の神様からの最上のプレゼントであることは間違いない。
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