きょうは朝はNikon F2、昼はRolleiflex StandardとGakkenflex、夕方はLeica M-Pを連れ出すことができて、なかなか脳をよろこばせることができた土曜日だった。
M-Pに装着したのはSummilux 50/1.4 2nd。なんだかんだいって、いちばん装着率が高いレンズかな。Elmar Mの頻度も高いけど、この第2世代のオールド・ズミルックスはより時空を超える感覚がして気に入っている。
M-Pのほうはフィルムモードのスムーズ。このふたつの組み合わせが気に入っているというのが正確なところかな。フィルムの質感とは異なるけど、このズミルックスとフィルムモード・スムーズの写し出す世界なら、僕はデジタルであることに不満はまったくない。それくらい気に入っている。
それは結局、写りすぎないところがいいんだろうと思う。f1.4の開放付近のゆらぎもそうだけど、理屈じゃなくてこのズミルックスとtyp240のフィルムモードが描き出す世界は、どこか魔法がかったところがあるというか、Nikon Dfのデジタル描写とは明らかに違う。技術的に違うというよりは、ライカが追い求める世界の思想が違うんだと思う。
フィルムライカからライカの世界に入った僕は、実はずっとデジタルライカのことは敬遠していた。フォルムこそM3を踏襲しているけど、所詮デジタルだし、M3やバルナックで得られるあの高揚感は決して体感できないだろうと。それなのにあの法外なコストをかけることがまったく価値観としてイメージがわかなかった。でも、こうして手にして日常使いしている今、ライカが踏襲したのはかつてのフォルムだけじゃなかったと感心している。
ライカは徹底的にフィルムライカユーザーたちの嗜好や期待を裏切らないことを踏襲している。それは現代のボディであれ、かつてのオールドレンズであれ、ライカであればどんな組み合わせでも変わらない、不変の何か。そのためにこの大量生産の時代にあって、驚くほど手間暇をかけてカメラとレンズを紡ぎ出している。そんな気がジリジリと伝わってくるのがライカの本質だと思う。
フィルムだとかデジタルだとか、そんなことは気にさせない、ライカらしくあることだけを愚直に追いかけた世界。それゆえに、フィルムライカからデジタルライカに持ち替えても違和感はまったくない。むしろ世界が広がる感じがする。
僕は最新のM10のことは分からないけど、typ240についていえば、これはもうフィルムを愛した人にはぜひおすすめしたい。フィルムを愛し、フィルムから抜けられず、デジタルを食わず嫌いになっている人にこそぜひおすすめしたい。その手持ちのオールドレンズが再び輝ける世界がここにはある。
そして、これまでライカと縁がなかった人にもぜひ。高価ではあるけど、ライカが追いかけているのは単にハイブランドというような世界ではなくて、カメラと写真に愚直にこだわった結果、どうしてもコスト高になってしまったピュアでストレートな世界。いろんなものがある程度ビジネスライクにならざるを得ない現代において、これほど無垢なものに触れる機会はなかなかないと思う。