Leica M-P〈typ240〉とIndustar-61 55/2.8は、思いのほか相性がよかった。
やっと来た週末、土曜日の朝、ふとロシアンレンズIndustarを持ち出したくて、M型デジタルのLeica M-P typ240に装着して散歩カメラへ出かけてみた。Industar-61 55/2.8はスクリューマウント=いわゆるLマウントだから、MLリングアダプターを介せばM-Pに簡単に装着可能だ。
同じロシアンレンズのJupiter-8に比べると開放値もおとなしいf2.8だし55mmという微妙な数値からちょっと地味な印象があるレンズたけど、いやあ、おもしろかった。だからオールドレンズ はやめられない。
一見控えめに見えるけど芯の強そうな人っているよね。このレンズの描写はまさにそんな感じ。この時代のロシアンレンズたちは、なんというか国家の意地というか、見た目の少々チープな造形からは信じられないようなプライド高い写りをする。
こんな優秀なレンズが一万円もしなくて手に入るんだから、これは楽しまない手はない。フィルムで楽しんでもいいし、僕みたいにデジタルにマウント経由でかませて楽しんでもいい。
そして、特筆すべきはその軽さにもある。Industar-61 55/2.8はコンパクトかつ軽量、Summilux 50/1.4 2ndと比べると驚くほど軽やかに持ち出せる。文字盤も暖色系だから配色として新鮮だし、フードをつけた感覚も実に端正でかっこいい。
最短で1mまでしか寄れないけど、寄れないレンズにすっかり慣れた僕には特に困ることもない。むしろ寄れない制約が脳をクリエイティブにしてくれる。足で画角を探してまわる感覚がいいんだよね。
やっぱりいいね、オールドレンズは。2.8のF値も55mmという焦点距離も特に目新しさも特徴もないわけだけど、そんなスペックに背を向けるかのように写りで勝負するロシアンレンズたち。僕がデジタルを楽しめているのは間違いなくオールドレンズ たちのおかげである。