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1956年生まれのエルマーが写し出す2018年の街角。
この上の写真のエルマーはまさに沈胴させたところで、ご覧の通りぺったんこの薄っぺらいフォルムになる。まず、これが素晴らしい。IIIaはバルナックが最後に手がけた製品といわれ、IIIc以降のバルナックライカより横2.8mm、縦2mmほど小さい。その小ぶりな板金ボディにこの沈胴式エルマーを装着すると、まさにポケットに入るスナップシューターが完成する。
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その写りのほうだけど、これもまたスナップシューターに恥じない素晴らしいものだった。手に入れてから約二週間、4〜5本のフィルムで撮ってみたけど、しばらく眠っていただろうIIIaとElmarは、撮るたびに油がまわって滑らかに動き出すかのようにハッとする描写を見せてくれた。ボディが1939年製、レンズが1956年製だけど、そんなことを微塵も感じさせないモダンな写りに見えた。
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フィルムはいずれもLomoのネガカラー100と400。最初の試し撮りにFuji業務用100を使ったんだけど、少し色のノリ方が暗い気がしたんで、もう少し軽さを出したいなと思い、初めてLomographyのフィルムたちを使ってみたんだけど、これもやはり外国製品同士の相性のよさなのか、すごくライトで軽快なスナップらしい描写になったように思う。
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そういえば、ふだんはFuji業務用100が好きで、その多くはKonica C35かNikon F2、FE、F6といった国産カメラに入れて撮ることが多く、これもまた国産同士の相性がいいってことなのかなとふと思った。日本情緒を撮るなら国産のよさもあるけど、外国製品の組み合わせらしい「陽射しや空気が異なる感じ」というのもたまらないものがあるよね。
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日中に撮る時の露出としては、絞り気味で無限遠固定で撮ることが多くなるけど、それでも上の写真のバイクなんかは手前にピントを置いて撮ってるから、背景のボケも適度に出る。決して明るくないレンズf値3.5だけど、沈胴式エルマーといえば50/3.5といわれる所以が少し分かるような、とてもドラマチックな写りをしてくれる。絞りはレンズ前面にある円形のつまみをフードの中に人差し指を突っ込んで調節。ピントは特徴的なハンドルレバーをやはり人差し指を使ってくるくる動かす。慣れると、これがまた味がある。
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夕刻の街も撮ってみたけど、開放f3.5でも十分に撮れる。この写真は感度100、SSはたぶん1/50くらいかな。撮ってる時は正直、半信半疑でシャッターを切ってたけど、現像があがってきたらけっこう鮮明に撮れてたんで、これでまたエルマーに惚れ直したという感じである。となると夜間も撮ってみたくなる。IIIaとElmar 50/3.5で初のナイトスナップに挑戦である。
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これもまた驚きなんだけど、息を止めてそろりと撮ったら、感度100でもまあまあ撮れてたんだよね。絞りは開放、SSは1/30。これなら昼間に入れた感度100のフィルムのまま夜に突入しても、気合を入れれば、いや息を止めれば、わずかな光を頼りになんとかスナップが撮れる。ミラーショックのないレンジファインダーカメラならではの撮り方かもしれないけどね。
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フィルムを感度400に替えて撮ったのが、この暖色のお店の写真。これだけ店内から光が漏れていれば、けっこう光を拾って撮ることができる。これも絞り開放、SS1/30だったかな。シャッタースピードはここからさらにスローシャッターはまだ未挑戦。バルナックライカはスローシャッターはボディ前面の別ダイヤルを操作するんだけど、次回はぜひスローシャッターでIIIaとElmarの実力、フィルムとの相性を確かめてみたい。
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あとは雪の写真を。ここから二枚は試し撮りの最初の1〜2本なんでフィルムはFuji業務用100。1枚目はピントを手前に置いて撮ってみたけど、これもじんわりと背景がボケていき、なんとも情緒感のある冬景色を再建してくれた。この雪の写真を見た時に、Lomoで撮ったものも見たくなったんだよね。
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こっちの写真は吹雪でもう絞りf8固定、無限遠でとにかくシャッターを押した写真。なんかその壮絶な感じが写真ににじみ出てる気がしないでもないけど笑、この少し滲んだ写りもエルマーらしい描写なんじゃないかと思ってる。どうかしたら、撮影した時期も数十年前に見えるようなところあるもんね。
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最後の一枚は、ふたたびLomo100で撮った雪模様。よく見ると降ってる雪が見える。こういう写真が撮れてるのを現像後に見るとほんとうれしいよね。撮ってるその場で写真を確認できないフィルムだけど、それがまた現像までのドキドキした気持ちの高揚につながっている。フィルムがやめられない大きな要素のひとつだったりする。
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というわけで、ひと通り試し撮りを終えたんで、一度、沈胴式エルマーの描写をまとめてみた。ひとことでいえば、懐古的想像を裏切る素晴らしい写り、ということになるかな。なんといってもモノクロフィルムが主流の時代のレンズとボディだから、カラーネガフィルムでこれだけモダンに写るというのは、僕には軽い衝撃だった。と同時に、当時のカメラ・レンズ開発の匠たちの技術の高さとか、込められた思いの熱さみたいなものを再確認した。人生にエルマーを。そんなレンズだと思う。