NikonとNIKKOR

F値を絞る。または、明るくないレンズで撮る静寂。

Nikon Z6, Z 24-70/f4 S

F値を絞る。または、明るくないレンズで撮る静寂。

どこまでが明るくて、どこまでが明るくないのかは意見も分かれるかもだけど、一般的にはf1.8までが明るくて、f2以上になってくると「控えめな明るさ」と言われるんじゃないかな。仮にそう位置付けて話を進めよう。

僕がそもそも最初のカメラとしてデジタル一眼レフを手に入れたのは「スマホカメラでは撮れないボケ」を撮りたかったんだよね。いろいろ理由はあったけど、それが決定的に大きかったと思う。だから、最初からf1.8の単焦点レンズも買ったしね。

その後もフィルム一眼レフは50mm f1.4かf1.8が中心だし、ライカのレンズもいちばん頻度高く持ち出しているのはf1.4のズミルックス。いまだに「ボケ」を楽しむことがそのまま「あえてカメラで写真を楽しむ理由」になっている。

けれど、明るいレンズ一辺倒でもない。そのきっかけをつくったのは「f3.5のエルマー」じゃないかな。ライカのレンズといえば、先に書いたf1.4のズミルックス、f2.0のズミクロン、そしてf3.5(またはf2.8)のエルマーが代表的だと思うけど、そこから見てもf2.0のズミクロンは「明るさ控えめ」で、f3.5のエルマーに至っては「暗いレンズ」といってもいいだろう。数値だけ見ればね。

でも、エルマーを使ったことがある人ならわかると思うけど、暗いレンズだからボケが楽しめないというわけじゃないし、むしろ暴れすぎない描写はやがて癖になる。ジワジワと心に沁みてくるのである。派手な描写ではないけど、そこには品というか端正というか、明るいレンズが明るさ故に犠牲にした美があると思うんだ。

僕はLマウントのエルマーだけじゃなく、MマウントのエルマーもF3.5のもの(一般的にはf2.8が多い)を使っていて、たまに無性にエルマーで撮りたくなってフィルムライカやM型デジタルにつけて持ち出す。その描写が気になる人は、ぜひブログ内検索で「エルマー」を検索してみてほしい。

そうして最近、僕の手元に「決して明るくないf4.0というレンズ」がやってきた。ひとつはMFのMicro Nikkor Ai-S 105mm f4と、もうひとつは上の写真のNikkor Z 24-70mm f4 Sだ。どちらもf2.8タイプもあるのだけど、f4のほうが当然お安く手に入れることができる。レンズの構造的に開放f値を落としたほうが、サイズも落とせるというメリットもある。

では、写りも落ちるかといえば、そうとも言えないなと思うのである。そう、エルマーの写りがズミルックスやズミクロンから劣るのとは違うように、開放値f4のレンズには何とも言えない繊細でなめらかなボケ、どこか静寂を思わせる品が宿っていると思わせるのである。

Z 24-70mm f4 Sはレンズキットの標準レンズで、Zマウントの中でも標準中の標準だから、そこに驚くようなスペックがあるわけではない。けれど、ライカがLマウントの成功をエルマーに込めたように、このレンズにもニコンがZマウントの成功を祈り込めたであろう美しさが滲んでいるように思う。レンズには数値ではない味があるのがやはりおもしろく、興味惹かれるところ。

そういえば、ズミクロンはf4に絞ることで最高の描写を叩き出すよう設計されていると聞いたことがある。それを聞いて以来、僕はズミクロンを少し絞って使うようになった(ズミルックスはあいかわらず開放付近の暴れっぷりを楽しんではいるけど笑)。明るいレンズはもちろん楽しいんだけど、「絞る。または明るくないレンズで撮る」というのが、今ちょっと僕のトレンドだったりするのである。

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