フィルムで撮る写真はたしかに味みたいなものがあるけど、それはフィルムのよさの一部であってすべてじゃない。フィルムカメラを手に入れるお店の居心地のよさ、数ある種類の中からフィルムを選ぶたのしみ、少々年季の入ったフィルムカメラの手触りとかぎこちないダイヤルをまわす感触、フィルムを巻き上げる音と乾いたシャッター音、撮ったその場で見られない写真のワクワク感、現像が上がってきた時のインデックスの愛おしさ、まだまだある、とにかくフィルム体験は写真を撮る楽しさの本質を掘り起こしてくれるものだと思っている。なんかフィルム写真の質感がいいから、とか、そんなフワッとした理由じゃないと思うよ、フィルムで撮ってる人たちは。フィルムで撮るというのはなんというかカメラとの共同作業みたいなところがあるんだ。カメラのオート任せにしない、カメラと僕とが共同作業で一枚の写真を撮る、そんな感覚。僕はその感覚をフィルムに気づかせてもらって、マニュアルライクで撮れるデジタル一眼レフNikon DfとD300を手に入れ、デジタルでもカメラとの共同作業を楽しもうと考えた。フィルム写真の雰囲気がいいだけなら、そんな選択や行動はとらなかったと思う。誤解を恐れずにいえば、フィルムの雰囲気だけをどうこういうのは、カメラとの共同作業を楽しんでいないということなんじゃないかな。だとしたら、とてももったいないことだと思う。僕はそう思う。
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