僕はもともとカメラを始めたのはそう昔ではなくて、三年ほど前にデジタル一眼レフを手にしてから。NikonのAPS-C機のD5300に単焦点50mm/f1.8と標準ズーム18-140mm(だったかな)をつけて、なんだこんなに楽しい世界があったのかと、あっという間に魅了された。この後、すぐさまもっと本格的な世界を体験したいとフルサイズのD750に移行して、ふだん使い用にコンデジなんかも増えていった。じぶんでも軽い沼だったかなという自覚はある笑。でもとにかく、それくらい楽しかったんだよね、カメラとの出会いが。
それから一年ほど前に、いろいろ訳あって手元にGRだけ残して、デジタルカメラたちはすべて手放すことになる。デジタルカメラが嫌いになったわけじゃないんだけど、他にも趣味ややりたいことがある中でカメラやレンズをあまりに増やしすぎて、どれひとつ集中できていないじぶんがいて、いわゆる断捨離というやつを敢行したということになるのかな。実際、GRだけで満たされた一年間だったから、もうカメラを増やすことはないとじぶんでも思っていた。
でも、ある時、ふとカメラのキタムラの中古カメラコーナーをのぞいた時に、フィルム一眼レフのNikon FEと目が合う。それも、なんというか、ビビビッときたという感覚。正確にいうとその少し前から心のどこかでフィルム写真っていいなという好奇心が湧いてきていたのだと思うけど、でも購入するという意識は強くあったわけじゃない。なにより、撮ってその場で見れないフィルム、現像とかなんだか面倒だしコストもかかるフィルムに、じぶんがまさか行くはずがないとさえ思ってたから。
ところが、衝動というのは怖いもので、その目が合ったNikon FEをその場で買って帰ることになる。ワクワクはしたけど、もうちょっと冷静にいうと、フィルムカメラなんて買って本当に使うのかじぶん?みたいな気持ちもどこかあった。それでも、まあカメラもレンズ付きで驚くほど安かったし、試し撮りにとすすめられたフィルムも¥200だったから、翌日からの週末に梅でも撮ってみるかと持ち帰ってみる。そこから、じぶんでも驚きの怒涛のフィルム体質へと体が変化していくことになる。本当にまさかじぶんが?!というくらいの意外なハマり方として笑。(そのへんのフィルムにやられていく様子は過去ブログをのぞいてみていただければ☺︎)
今にして思うのは、もうデジタルには戻れない体質になってしまった、というのが正直なところ。もちろんデジタルのGRも使うけど、それはほんとにサブであり暗がりとかだけかな。あとは平日のスナップもフィルムコンパクト、週末のまったり散歩カメラも機械式シャッターのカメラやNikon FEたちで、今では週明けの現像が楽しみなライフサイクルになった。たしかに、たったその場で見れない写真の不便さ?や、フィルム代や現像代、データ化代など、まあデジタルカメラと比べると不便でコスト高と言えるけど、そうしてまでも撮りたいというフィルム写真ならではの風合いが間違いなくフィルムにはあるし、それを撮る道具としてのMFカメラにもたまらない味がある。これを体験してしまうと、どうしてもデジタルには戻れなくなるんだよなあ。僕だけかな、これは。
ひとつ思うのは、この逆で、フィルムから始めてデジタルへ移行した人は、フィルムもデジタルも両方楽しめる体質になっているような気がする。つまり昔からカメラに馴染んできて、その便利さの変換をリアルに味わってきた人は、デジタルの便利さというのを身にしみてるからなのかな。そんな風に思うけど、どうだろう。それと比べると、僕のようにデジタルからカメラを始めてフィルムへ移行した人間は、あのデジタルの便利さがどちらかというと機械任せの味気なさにうつったり、デジタルならいっそスマホカメラでいいんじゃないの的なふうに置き換えてしまう。そうではなく、デジタルの恩恵を受けたいとするなら、超望遠レンズで撮りたいシーンだけかな。僕はそんなふうに思う。
デジタルは駄目でフィルムがいいという話では決して無くて、僕の”デジタルに戻れなくなった体質”という一個人の単なる見解の話なので軽く聞き流してほしいんだけど、でもまあこれが実在する一人の写真好きの人間の軌跡だったりもするので、ちょっとブログに記憶しておこうかと思った。同じような体質の人がTwitterの中なんかにも何人かいるようにも思えるけど笑、そこはたぶん一人ひとり微妙に背景というか軌跡は違うようにも思うので、ここでは触れずに。というわけで、この記事を読んでくれた人が共感したり参考にしたりするのか、それともフィルムへは怖くて行くまいと思うのかはアレだけど、フィルムが多少なりとも今ちょっとしたブームだとしたら、この現代にデジタルには戻れない体質になる何かがフィルムには隠されてると思うし、カメラ産業の復活があるとしたら、それはフィルムが大いに鍵を握っていると僕は考えている。