愛犬とライカと、週末の空気をたのしむ。
長かった一週間が終わり、PEN-FやRICOH GRといった速写カメラからライカへとカメラを持ち替える。土曜日の朝は、とにかくひたすらゆっくりとした時間を愛犬とたのしむのが僕の至福の過ごし方だ。
ライカはそもそも別にゆっくりとしたカメラではない。むしろ速写カメラだし、スナップシューターだ。けれど、ゆっくり撮るのにも向いている。今朝のライカはM型デジタルのM-P typ240にズミルックス50第二世代。朝陽が辺りにまどろみを生む空気を撮るのには、僕にとっては最高の組み合わせだ。
朝のあのなんともいえない空気は、やはり光学ファインダーでのぞきたい。しかも超クリアな、まるで素通しのガラスも感じないファインダーで。そうなるとM型ライカに勝るカメラはちょっと思いつかないし、景色の中にブライトフレームが浮かび上がる様子は絶品というほかない。
ライカのレンズの中でも、僕は好んでズミルックスをよく使うけど、空気をつかむように撮るズミルックスのf/1.4という開放のおいしい部分も、シャッタースピードが稼げるM型デジタルなら気にせずたのしむことができるのも、この組み合わせの利点だ。
そして、郊外のあまり人の歩いていない静かな道で、こうして静かにファインダーをのぞき「クシュ」とささやくような控えめなシャッター音を聴くと、心まで静かになるような気がする。一週間の怒涛の平日からのギャップもあって、その余韻はまさに最高というほかない。
ライカというのはボディもレンズもだけど、性能を求めるものではない。性能だけなら他にも優秀なレンズはたくさんあるしね。僕は強いて言うなら空気を求めるものだと思っている。ライカにしか封じ込めることのできない空気というのは確実にある。それがライカだし、唯一無二の時間だ。それを求めるならライカは決して高価じゃないし、その期待を裏切ることもない。僕はそう思っている。