息子の卒業式が近づいてきて、ひとつの問題が僕の中で浮上した。高感度で撮れる望遠システムを持っていないということだ。僕の所有するカメラで望遠機材といえば、APS-CのNikon D300とDXレンズの18-200VR。日中の運動会なんかはこのシステムで全然OKなんだけど、屋内となると感度性能が古いD300では三脚なしの手持ち撮影だとさすがに心もとない。どうしようかと。
最初は、現行モデルのフルサイズFX機Nikon DfにDXレンズを無理やり装着しようかとも思ったけど、これはネットで調べるとできるにはできるけど、画素数が落ちたり四隅が切れたりとあまり心地いい感じではない。んー、でも年に数えるほどしか出番がないであろう機会のために、フルサイズ用の望遠レンズを購入するのもどこかもったいないなあと、少し頭を悩ませていた。で、なにげにその悩みみたいなものをTwitterに投げかけてみたら、ある人が過去のご自分のエピソードを添えて、やはり一本望遠レンズがあったほうが後々後悔しないかなと声をかけてくださった。そう、家族の思い出を残すという心待ちにおいてのアドバイス。
これで、気持ちがすーっと整理できた。じぶんのためのレンズじゃなくて、息子専用のレンズと思えば出費も痛くない。というか、近ごろはいつもじぶんのためにばかりに機材に投資してるけど、家族のために機材に投資しようという原点に帰ったというかね。僕がいちばん最初に一眼レフを買った時も、幼かった息子の姿を写真に収めたいと思ってカメラを始めたから。そんな息子も大きくなり、今ではカメラは父の遊び相手になっていたんだけど、写真の本質の「記録する」という原点に立ち返ったんだよね、ふとね。
で、僕のもとに70-300VRが帰ってきた。明るいレンズではないけど、高感度性能のボディとの組み合わせであれば十分使えるのは、以前所有していたD750で実証済みだ。ただ、長いなあと思った笑、Dfに装着するとなおさらね。
卒業式までに望遠レンズの勘を取り戻さなきゃと、早速試し撮りに連れ出してみた。望遠自体はD300でたまに撮ってるからそれほど変化はないんだけど、70-300VRの感触は懐かしかった。手触り、そして中望遠から始まるファインダーの中の世界。撮り始めてすぐに、あ、いいなと思った。
僕が近ごろ使っているカメラはどれも手ぶれ補正なんか付いていないから、VRの効き目は僕には強力だ笑。オートフォーカスでヒュンヒュン撮れる感覚も、さすが、これならシャッターチャンスを逃さないと妙に感心して試し撮りしてた。
もちろん、中望遠レンズとしても絞って撮るからなかなかの撮れ具合。もっと高性能な望遠レンズは世の中にあるけど、僕のカメラライフでいえば望遠は極たまに出番がやってくる機材だから、70-300VRは申し分ない最高の助っ人だ。
久しぶりに上空を飛ぶ飛行機も捕まえられたりして、なんだ、息子専用レンズと言いながら、父もけっこう喜んでるじゃん!と笑。そう、カメラやレンズはやれ機能がどうとか材質がどうとか言うけど、そんなことよりもじぶんが心地よく撮れればそれでいいの、いやほんとに。僕はそう思って機材と付き合ってる。
そういえば昨日は、この70-300VRを買いに行ったついでに、Leica用にM-Rokkor 28/2.8とNatura1600 10本パックを購入した(じぶんのためにもしっかり投資してしまってた)。M-Rokkorも手頃な値段だったし、たまに広角を撮るなら当時エルマリートを凌ぐと言われたその写りはいろんな妄想もしながら楽しめる。フィルムカメラ同様、機材はそれほどお金をかけずに楽しんだほうが、なんというか「勝った!」って気がするよね笑。最高のゲーム(遊び)だからね。
というわけで、なんだかんだで父も喜んでいる70-300VRとの再会。久しぶりに、いい買い物したなっていう感覚がある。出費というよりは、思い出への投資。週末はこうしてじっくり一眼レフで楽しむのもやっぱいいいいなと再確認もしたり。平日はライカたちでスナップ、週末は一眼レフで自然とたわむれる。少しまた方向性が見えてきた。