手に入れたばかりのPEN-Fの試し撮りはもっぱら、レンズキットで手に入れたM.Zuiko digital ED 12/2で行ってきたが、僕がPEN-Fが欲しかった理由はオールドレンズをつけて楽しみたいというところもあって、ついにというかアダプターを介してMエルマーをつけ、少し撮り歩いてきた。
コンパクトなPEN-FにElmar M 50/3.5をつけると多少フロントヘビーになるが、ブラックボディに艶めかしく輝くシルバーのエルマーは見た目にもなかなかカッコいい。PEN-Fがレトロ調な佇まいのデザインということもあって実にしっくりくるんだ。MエルマーはふだんはLeica M3かLeica M-P typ240につけることが多いが、ライカボディと遜色ない“アリ”な雰囲気を醸し出す。
スナップの舞台はいつもの僕の散歩道なので特に変哲のない光景であることはご容赦願いたいが、感想としては「あゝエルマーだな」といったところ。それはもちろん良い意味で、柔らかさと緻密さが絶妙に同居するあのエルマーな感じがやっぱりするのである。
特筆すべきことは、センサーサイズがマイクロフォーサーズであることと、それによってレンズの焦点距離が二倍の100mmという中望遠になること。ふだん標準域の50mmか広角域のレンズを使うことが多い僕にとっては100mmの世界はかなり久しぶりだ。撮ろうと思って目をつけた景色をファインダーを通して眺めると、想像以上に大きく寄りで撮れることに少し驚く。
レンズを変えるというのも新鮮だけど、焦点距離を変えるというのも脳がいい意味で驚いて楽しい。M.Zuiko digitalのコンパクトな広角レンズと比べると、Elmar Mは少し鼻先が重くはなるけど、とにかく元々のボディPEN-Fが軽量だから、それほど気にならない。いろんな意味でPEN-Fにエルマーはアリだなと思った。
あとは、マイクロフォーサーズというセンサーサイズでオールドレンズの描写はどうなんだ?というところだけど、ここまで触れなかったのはそのせいでもあるんだけど、これがまったく不足を感じないのである。少なくとも僕が撮る程度のスナップの範囲では破綻はない。ちょっと拍子抜けするくらい焦点距離以外は、いつものエルマーの描写に見える。んー、画質という面でのフルサイズへのこだわりはほんといらないかも。
となると、ちょっと今日は中望遠で撮りたいなという時は、何も考えずにPEN-Fにエルマーやズミクロン、ジュピター8なんかをつけて撮れるし、持ち出す軽快さでいってもフルサイズのLeica M-P typ240に装着するよりは断然気軽だ。単にオールドレンズ用ボディを手に入れたというより、焦点距離まで含めて変化を楽しめるボディを手に入れたと思うと、新鮮さがさらに倍増する。
そうそう、ちなみに僕はPEN-Fの画質とサイズの設定はミドルで全然高画質では撮っていない。ブログやSNSのポストならそれで問題ないというのもあるけど、昔読んだ田中長徳さんの本に長徳さん本人もそんな画質でしか撮っていない(なんなら仕事で撮る時もそうだと笑)というのを読んで以来、僕も実践している。僕のピントの腕前なんかは置いといて、それでもこれだけ撮れるわけだから、だったらデータ保存上もこんな楽なことはない。
こうなってくると、週末のじっくり撮れるひとときでも、一眼レフやデジタルライカをさしおいて、俄然PEN-Fの出番が増えそうな気がしている。小さく、軽く、シャッターフィールも絶品。そのうえ、オールドレンズ も楽しめて、撮り歩くリズムがとても軽快にもなる。決してオーバーな表現ではなく、PEN-Fはカメラをひとつだけ待つとしたら究極の選択肢になるんじゃないかと思う。
世の中はちょっとしたフルサイズミラーレスブームだけど、本当の意味での使い勝手とか、じぶんの使い方をじっくり見つめ直すいい機会にして、場合によってはマイクロフォーサーズのミラーレスPEN-Fという選択もアリなんじゃないだろうか。加えてオールドレンズでいくつもの顔を楽しむのもまたアリ。僕もまだまだ使い始めたばかりなんで、このカメラの可能性をもっともっと突き詰めてみたいと思う。日々、楽しくシャッターを切りまくりながら。