やさしいんだよね、フィルムとフィルムカメラはね。デジタル機につけると分かるけど、このコシナのCarl Zeiss Planar T*2/50ZMなんて、とんでもなくクリアでシャープな写りをする。ちょっとリアルすぎるところもあるんだけど、こうしてフィルムを通すと実にいい塩梅の描写になるんだ。
僕が使うレンズでいえば、Elmarなんかもそうかな。デジタルライカに装着して撮るとドキッとするような綿密な描写をするけど、フィルムカメラで撮るとそこに光のやわらかさが注がれ、同じレンズとは思えないやさしい表情をみせる。フィルムカメラにつけることを想定して作られたチューニングなのか、それともそれがその時代の最上の技術だったのか、そのへんのことは現代のしがないアマチュア写真愛好家の僕には分からないけど、フィルムカメラのレンズとして生まれた世界が、こうしてデジタル時代に僕らにやさしさをもたらしてくれることはとても夢のある素晴らしい出来事だと思う。
あと試したいのは初代ズミクロン だけど、こちらはまだデジタルライカにしか装着して撮っていない。本命はLeica M3用に手に入れたものだけど、この猛暑の中でなかなか連れ出したくない気持ちもあり、もう少し気候が良くなるのを待っている。とてもよく写ると言われるオールドレンズ の代表格といっていいSummicron 50/2 1stのフィルム越しの写り。さて、どう僕の心をなでるようなやさしさを垣間見せてくれるのか。いま、いちばんたのしみなことなんだよね。