日記のようなもの

駆けぬける歓び、と人生について。

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さっき家の近くの写真館の駐車場でSAABを見かけて、懐かしくて当時の気持ちをツイートしたので、ちょっと僕と車のことも記しておこうと思った。

僕は今でこそロードバイクやカメラを趣味にしているけど、若い頃は趣味らしいものといえば車くらいで、それも車雑誌を眺めるのが趣味だった。二十歳の免許をとるまではバイクにも憧れて、母親の原付スクーターだったけどバイトに行くのに颯爽と乗ってたな笑。その後、車の免許、中型自動二輪の免許をとり、まあ当時の若者らしく二輪と四輪の世界に魅せられてた。あの頃はスマホもSNSもなかったしね、若者は自然と車やバイクに興味がいっていたように思う。

僕がむさぼるように毎日見ていた車雑誌は、いわゆる外車の中古車雑誌。なんか、今の中古カメラを眺めてるのと変わらない気がするけど笑。当時いいなと思ってたのはポルシェ914とかVWカルマンギアで、なんというか全身からヴィンテージ感を放っている車たちに憧れた。アメカジが好きだったのもあって、そうしたヴィンテージルックの車で窓を全開にしてカーステを鳴らして赤土色のアメリカの荒野を走る姿を妄想してたように思う。とはいえ、ふつうの学生にそんな車を買える余裕はなく、ひたすら雑誌を眺めては”いつかはじぶんも”みたいに考えてたのかな。

社会人になってようやくじぶんの給料で手にした車は、FIAT Pandaというイタリア版のMINIのような小型車。デザインはジウジアーロでとにかく四角いデザインと文房具のようなソリッドな青色のボディが気に入っていて、スピードなんかまったくでないんだけど、トロトロといろんな所へ出かけた。お金はなかったけど楽しかったな。でも、僕にはメンテができず、たしかニ、三年でやむなく手放し、それ以来は二台ほどメンテの心配がいらない国産のユーノスロードスターやパジェロに乗っていた。

それから数年、少し経済的にも余裕が持てるようになって、あの中古車雑誌を眺めていた頃の感情が蘇り始める。探し始めたのは80年代から90年代にかけてのE30型と言われるBMWだった(このインスタの写真のものがE30型セダン)。若い頃の僕にはBMWはもちろん高嶺の花で、乗る車じゃなくて街で眺めるだけの車。だけど、その質実剛健な佇まいがずっといいなと思ってた。バブル当時は”六本木のカローラ”と揶揄されるような軟派なイメージで言われてた車だけど、スーパーカーブームの時代から箱型のいかにも車らしいフォルムでいて走りのイメージがあるBMWは、僕のプロダクト観にはすごくフィットしていたんだと思う。そうして、ずいぶんと大人になってからだったけど、中古で念願のBMWクーペ(初代M3をモチーフにしたタイプ)を手に入れる。ここから、僕の遅れてきたBMW人生が始まる。

その後、やっぱりヴィンテージカーの故障と上手く付き合えなくて、メカに詳しくない僕は新しい時代のBMWに乗るしかないと決心する。次に乗り換えたのが初代Z4。たまたまガソリンスタンドでフルオープンにしているZ4を見かけて、その前衛的なフォルムにハートを撃ち抜かれた。当時のBMWのデザインは奇抜と言われた米国出身のクリス・バングルがデザインディレクターとして世に送り出したもので、賛否両論あるけど僕は大好きだったな、そのアクのあるデザインが。このクーペとオープンカーの二台でいわゆる”駆けぬける歓び”と言われるBMW特有の走りの素晴らしさを体感し、満を持して家族の車もBMW3シリーズに移行する。もう10年選手の車だから一昨年の冬に3シリーズのツーリング(この紺のツーリングワゴンに乗るというのも若い頃からの憧れだった)に乗り換えようと購入したんだけと、先代の3シリーズセダンにはとても思い入れがあって、購入直前で下取りに出すのをやめて、いま我が家には3セダンと3ツーリングの新旧のBMW二台が停まっている。僕はもっぱらシルバーの古いセダン、妻が新しいほうの紺のツーリングに乗っている。

僕がひとりでプールに行く時や写真を撮りに行く時は、この古いほうのBMWと一緒だ。カーナビもないし、カーステの音源はCD。だけどディーラーでしっかりメンテだけはしてもらってるから走りのほうはまったく古びない。むしろ年数を経て”駆けぬける歓び”は円熟を増してきたように思う。コスト的には古い車だとお金も手もかかるけど、それでも思い出が詰まりすぎていてなかなか手放せない。たしかに移動するだけ、生活するだけなら、無理して乗り続ける必要はないんだけど、もはやこの車には人生を共にする愛着がある。幸い今は元気に働けていてなんとか維持できている。そうしていられる間はなんとか乗り続けたいなと思っている。駆けぬける歓びと、人生について。なんだか、カメラと似ているな、この感情。

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