Nikon FE

好きなことは、ずっとやめないでいよう。例えば「カメラという趣味」について。

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職場を卒業する大先輩が、最後の送別会の席で話された言葉なんだよね。「好きなことは、ずっとやめないでいればよかったと、いま本当に思う」と。その先輩にとっての好きなことは音楽だったわけだけど、ふと定年退職を迎えるにあたり、好きな仕事をまっとうした達成感がある一方で、その歳まで気がつくと仕事ばかりで、好きなことをする時間をどこかおざなりにしていたことをちょっぴり後悔するじぶんがいたらしいんだよね。

これは僕、すごく分かるなあと。僕も実はそうなんだけど、運良くというか、好きな仕事に就けたことで若い頃はほんと仕事に夢中で、来る日も来る日も仕事のことばかり。いわゆる、仕事が趣味ってやつで、他人に趣味を聞かれてもまったく答えられるものがなかった。けれど、ふとある日、そんなでいいんだろうかと思い立つじぶんがいて、以来、Runであり、ロードバイクであり、スイムであり、サッカー観戦であり、そしてカメラと、思いつくものを本能に任せていろいろ試してみる日々が始まった。

ずいぶん歳をとってからスタートしたものばかりだけど、いま考えると、それでもそういうことに気がついて良かったなって。なんというか、視野がとても広がった。仕事をするということは、社会と接点を持つことで、社会とつながる以上、できるだけ広い社会を見たほうがいい。Runを始めたら皇居を走る人たちの気持ちや背景が分かるし、スイムをやれば子供の水泳の必要性やシニアの体力づくりのことも分かる。ロードバイクを始めたら、道路の路面の荒さやバリアフリーのことも分かり、トライアスロンに挑戦する人の気持ちも分かり始める。今まで知らなかったソサエティが俄然見えてくるんだ。

カメラだってそう。カメラなんて写ルンですくらいしか認識がなかった人間が、ある日デジタル一眼レフを持ち始めて、ファインダーという窓の中の世界の素晴らしさに一気に引き込まれる。そして、レンズという光学技術の凄さに驚嘆し、やがてそのカメラ史を紐解かずにはいられなくなり、どんどん時代をさかのぼりはじめる。そこには人生をかけてカメラやレンズの開発に取り組んだ人たちの情熱があり、思いが形になった名機たちが多くの人々にいまだに愛され続けていた。こんなドラマばかりのカメラという世界に出会えたことは、僕の人生においては本当にかけがえのない時間だったと思う。

まあ、お金もかかるし、手間暇も食う。カメラはハマるとどんどんと不便な方へ行く世界でもあり、これだけお金をかけて、なぜわざわざ苦労するようなことを増やすのかと思わなくもないけど笑、趣味とは手間もお金もかかるもので、そうして苦労するからこそ歓びももまた大きい。男の趣味なんて仕事を引退してからいくらでもゆっくりできるじゃないか、ということもあるかもしれないけど、仕事でまだまだ忙しい年代のうちにこそ、趣味がいろいろ日常を救ったり、豊かにしてくれる。だから、できれば若い頃から趣味だけは続けていたほうがいいし、若い頃に好きなことに巡り会えてるなら、それを生涯あきらめずに続けていたほうがいい。

カメラでもいいし、スポーツでもいいし、なんだっていい。じぶんが好きだと思えることを、仕事に溺れて忘れないで、ずっと大人になってからも続けていく。それが最高の人生のプロセスなんじゃないかな。趣味はサブじゃなくて、趣味こそ人生であり、趣味があっての仕事、そんな気がするんだよね、この歳になって。きょうのブログはカメラの話というより、僕の独り言のような話ではあるけど、この事はじぶんの大切な記憶として残しておかないといけないと思い、一気に書いてみた。奇跡的にもこのブログを読んでくれた人の、何かしらのきっかけになればうれしいけど。さて、愛犬と散歩へ行こうかな。

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