はじめてのポジフィルム現像。世界はこんなに美しかったのか。
はじめてのポジフィルム現像があがってきた。大袈裟な表現ではなく、僕はいまじぶんの部屋でポジを眺めながら、生まれてこれまで味わったことのない種類の感動みたいなものに包まれている。僕の腕はともかくとして、これほどまでに美しい世界は見たことがないかもしれない。なんなんだ、この色は、この描写は。そんな言葉を何度も何度も心の中でつぶやいている。
にわかにじぶんが撮ったとは信じられないんだよね。そういう愕然とするパワーがリバーサルにはある。なんというか、じぶんが撮りたいと念じた思いがカメラと写真にのり写るとでも言えばいいだろうか。僕はそう思った。
これはね、写真の神様からの贈り物だと思うよ。デジタル全盛のこの時代に、ローテクのフィルムカメラを手に入れて、決して安くないコストを投じてフィルムという記録メディアをこよなく愛し続ける人々へのプレゼント。そうじゃなければ、こんな神々しい絵は生まれてこないもの。
写真やっててよかった。フィルムやっててよかった。ほんとにそう思う。ずいぶん年をとってからのフィルムカメラとの出会いだったけど、リバーサルフィルムとこうして出会えたから、ほんとうにカメラ始めてよかった。何事もやってみるもんだな、挑戦してみるもんだなとしみじみ思う。
そして、富士フイルムのVelvia100に感謝したい。フィルムブームと言われつつも年々シュリンクしていくフィルム市場で、今もこうしてリバーサルフィルムを世に送り出し続けてくれている日本唯一のフィルムメーカー、富士フイルムには感謝しかない。もしこのリバーサルフィルムがすでに販売終了していたら、僕はこの感情に出会うことはなかったわけだから。
まだフィルムをやったことがない人、ネガフィルムでは楽しんでるけどリバーサルフィルムはまだ未経験の人、これはね、絶対経験したほうがいい。こんなビギナーの僕でも、その色と描写は十分堪能できる。そして、色ののったポジに光をあてて、眺めて、唸って、酔いしれてほしい。この世のものとは思えない、美しい世界を。僕らが生きてる世界はまんざら醜いことばかりじゃないから。