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これがSIGMAの生きる道、dp3 Quattroとモノクロ世界。
手に入れたばかりのSIGMA dp3 Quattroの充電を終え、土曜日の朝、試し撮りへ出かけてみた。春色が随所に見え始めた自然のある散歩道で、なぜ好んでモノクロで撮りたいのかと言われるかもしれないけど、僕はこのdp3 Quattroを手に入れる時はモノクロのことしか頭になかったんだ。そう、セイケトミオさんのあのモノクロの世界だね。ライカ使いのセイケトミオさんが時折dp3で撮る、あの世界だ。
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もちろん、あんなセイケトミオさんのようには僕には撮れない。でも、心はね、そうありたいなって。「作品をつくるための機材」を世に生真面目に送り出すSIGMAという孤高の企業と、静かにモノクロ写真を紡ぎ出すセイケトミオさんは僕の中でダブるとこもあって、そんな両者が手を取り合った世界のイメージが僕の中にはあって、ようやくというかその世界をこの目でのぞいてみたいなと思い至ったんだ。
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こう書くといかにもかっこよさげに聞こえるけど、決定的にそう思い至ったのはここ一週間くらいの間であってね。最初に思ったのはSIGMAの製品を試してみたいということ。もちろんまず考えたのは手持ちのカメラで使えるSIGMA製のレンズだけど、いっそボディもと思った。で、僕が最初に検討したのはSIGMA sdだったんだ。
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ミラーレスのボディと30/1.4のレンズだったかな。僕はお店で実機を触り、じふんとのフィーリングを確かめないとカメラを選べない性格だから、ある日お店をのぞいて実機を触ってみたんだ。何度も、何度も。ある意味、買う気でお店をのぞいていることもあったから、しつこく触り続けていたんだけど、どうしても最後は買う決心ができなかった。それが「大きく重いカメラ」というハードルだったんだ。
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SIGMA sd、機械としては魅力的だったよ。けれど、ふだんスナップ向けカメラや比較的小ぶりなカメラで撮り慣れている今の僕にとってsdの特に重さは、最終的に受け入れることができなかった。そうして俄然、現実味を帯びてきたのがdoシリーズのカメラたちだったんだ。dpシリーズはdp0、dp1、dp2、そしてdp3と4つの製品があり、固定レンズの焦点距離が広角から中望遠まで異なる仕様で用意されている。僕が選んだdp3は50mm f/2.8のレンズがセットされていて、35mm換算だと75mmという中望遠が楽しめる機種だ。
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そして、このSIGMAのカメラたちに共通した特徴であり、他のカメラと一線を画す存在たらしめているのがFoveonという孤高のセンサーだ。詳しい説明は他の詳細サイトを見ていただくとして、簡単に言えば「中判カメラのような高い解像感を持つ分、高感度には弱い特性があるセンサー」ということになるだろうか。つまり、手放しで万人ウケするカメラではない。手ブレ補正もない、ズームもない、WiFiもなければ、シャッタースピードも1/2000まで。ただし、写りの濃厚さだけはちょっと他のカメラでは真似できない、そんな唯一無二の存在なんだ。
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実際に試し撮りで使ってみた感想を言うと、その使用感はコンデジである。デザインこそ奇抜に見えるけど、その使用フィーリングは実に普通でコンデジに抱くあのイメージ通りだ。ファインダーもない(オプションではアリ)から、昼間の晴れた屋外ではモニターもあまり見えない。けれど、それでも勘を頼りに撮る。歓びが待っているのは、家に帰ってからMacBookにつないで撮れた写真データを見てからだ。
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そうすると、ご褒美のような写真がパソコンモニターに映し出されるのである。つまり、撮っている時はあまりハイになることはないが、撮れた後の写真をがっつり楽しむ、そんなカメラと言えるんじゃないだろうか。感度は800くらいまではなんとかいけそうだけど、基本はISO100かもう一段上あたりが常用。つまり、フィルムカメラで撮る時の、あの感覚に近いと言えるかもしれない。
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カラーも数枚撮ったから載せておくけど、できあがる写真そのものは、やはりどこか芳醇で濃厚な気がする。これでも画質はノーマルでサイズも小さめ、それでこの写りの緻密さがあるのなら、やはりFoveonセンサーは只者じゃないことが分かる。Twitterのフォロワーさんが言ってたけど、その真価はプリントするとより鮮明だという。今度チャレンジしてみようかな。
というわけで、まだ初撮りだし、ここで語るほどの癖もつかんでいないし、詳細スペックもこれから理解していく段階なんだけど、一旦メモ的にここに試し撮り写真を載せておこうと思う。それでもひとつ言えるのは、このSIGMAが送り出したdp3 Quattroというカメラは、誰にも似ていない独特の世界を持っているということ。それは、NikonやCanonといった大メーカーと同じものを作ってもしょうがないというSIGMAの潔さであり、作品をつくる機材を提供する会社ならではのこだわり。それも、ある種クレージー系のこだわり。そういう世界をのぞいてみたい人にはアリということだけ言っておきたいと思う。クルマでいえば“ロータス”じゃないかな。写真や操作感の続報はまたおいおいこのブログで。
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