FUJIFILM X half

FUJIFILM X halfのフィルムカメラモードは常用でもいいくらい。

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FUJIFILM X half

X halfの発売が始まって、初回ロットで手に入れた人たちはいかがお過ごしだろうか。概ね感激して使われてる人が多いと感じるし、予約してるけどまだ手元に届いていない人たちにも、一日も早く届いてほしい今日この頃である。

僕はというと、手元に届いた翌朝は試し撮り散歩で、主に背面モニターを見ながら絞り開放なんかの描写を試していたんだけど、このカメラの真骨頂はやはり「フィルムカメラ的な撮影所作(体験)」だろうと思い、2日ほど遠出をする機会があったので、例の「フィルムカメラモード」縛りで撮影してみることにした。

結論からいうと、もうまるで写ルンですのあの撮影体験な感じで、なんとも言えない楽しいものだった。

みんなも事前の情報で知ってると思うけど、フィルムカメラモードを選ぶと、モニターは撮影時も撮影直後も使えなくなり、ガラス素通しの光学ファインダーをのぞきながら、ひたすら36枚とか72枚を撮りきる、あのフィルムカメラの撮影スタイルになる。

FUJIFILM X half

その間は、当然フィルム(シミュレーション)も変更できないという、デジカメの便利さをあえて封印して不便にしたような「縛りモード」だ笑

でもね、想像していた通り、これが楽しい。撮影直後に撮った画像を確認することなく、連続的に次の撮影や動作に移れる。あのフィルムカメラの撮影テンポがとても心地いいのである。

本当に素通しのガラスしかないファインダーは、カメラ越しに見える光景もまさに写ルンですのあの世界。画角も曖昧だし、ピント合わせもアバウトだ。でも、その脱力感のある撮影スタイルが、気分をとてもリラックスさせてくれる。

FUJIFILM X half

一枚撮るごとに巻き上げレバーを動かす所作は「これはいるかな?」と思ったりもしたけど、まあ実際に巻き上げないとシャッターが切れないから、これも撮ってるうちに自然と身についていった。本物のフィルムを巻き上げるようなトルク感はないけど、それはそれで静かに撮れるので悪くない。

36枚縛りは、ちょっと枚数が多すぎるよなんて意見も目にしたけど、慣れてくると引きとセットで寄りの写真なんかも押さえて、なんだかんだで一日あればなんなく撮り終える。より少ない枚数で撮りたいなら、通常モードでモニターを見ずに撮ればいいだけかな、と思った。

で、36枚を撮り終えると、背面モニターの撮影枚数表示がだんだんとゼロへと戻っていくギミックも、そういう仕様だったフィルムカメラを思い出して、なかなか情緒を感じさせてくれる。よくぞ、ここまでやりきった富士フイルム開発陣!みたいなね笑

X halfアプリによる現像プロセス。写真は公式HPより

で、撮りきった写真は、専用のスマートファンアプリの中で、現像的な処理がなされる。モノトーンのネガフィルム的画像がずらりと並び、それが一枚一枚だんだんとカラー写真へと現像されていく様子も見て楽しめるのだ。36枚がずらりと並んで一目で見られるコンタクトシートまで生成されるからね。いやあ、アイデアとコストがかなりかかっておる。

スマートフォンの接続もスムーズだし、これはある意味、デジタル技術や環境が整った現代だからこそ楽しめるフィルムカメラ的感覚だと思った。アプリ内で現像した写真は、自由に2in1で組合せを楽しめるし、それらの写真は自動的にスマートフォンの写真ロールにも保存される。素晴らしい。

たしかに数字上のスペックだけ見ると、このポジショニングのコンデジが10万円超え?と言われる向きもあると思うが、実際に目の前にあるだけで気分があがるチャーミングなボディデザインや、こうしたアプリ連携まで含めた独特の撮影体験を味わうと、価格以上に得るものがあると感じる人が大半ではないだろうか。

FUJIFILM X half
FUJIFILM X half
FUJIFILM X half

カメラを嗜好品的観点でみると、モノとしての上質感とか、より高スペックな機能、それによって「なんか上手い写真、凄い技術だと言われる写真」を撮らなきゃ、みたいな変なプレッシャーというか気負いが出がちだけど、このX halfはそうした呪縛から解放してくれる。「いまを自然に撮る」ということにある意味、没入させてくれるのだ。

それこそ、ハーフサイズカメラやフィルムコンパクトで撮る時の、あのいい感じで脱力した写真の楽しみがここにはある。そこに「そうそう、こんなカメラが欲しかった」という思いが一気にのっかって、人気の商品になってるんじゃないかな。

FUJIFILM X half
FUJIFILM X half
FUJIFILM X half
FUJIFILM X half

撮影体験だって写真の一部だ。きょうは撮るぞと肩肘をはってカメラ機材を持ち出すというより、きょうもなんとなく身につけておこうくらいの、それこそ写ルンですを持ち歩いていた時のあのライトさ。

けっこう世界を変えるのは、大事件的な大トピックよりも、こういう身の回りの小さなライフスタイルの意識の変化だったりする。FUJIFILM X halfには変にブームになるよりも、ほどよい人気くらいで息長く僕らの暮らしにひとつのスタイルとして根付いていってほしいなと思う。




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