カメラへの思い

2023年、写真はクラシックな方向へ行くんじゃないかな。

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FUJIFILM X-T5, 7Artisans 50mm f0.95

なんの脈絡もないんだけど、2023年のカメラと写真の展望みたいなことを書こうと思った時に、ふと「写真もカメラもクラシックな方向へ振れていくんじゃないか」と頭によぎったんだよね。

そう思う要因はいくつかある。ひとつはクラシックなスタイルのカメラの登場である。昨年夏、Nikonが突如として発表したクラシックデザインのZ fcだったり、写真に載せてあるスリーダイヤルのFUJIFILM X-T5の想像以上の人気っぷりであったり。最先端のミラーレス機能とは逆行するようなレトロ感のあるカメラが一定の人気を得ているのは、間違いなくひとつの「現象」といっていいだろう。

もうひとつの要因は、フィルム写真とフィルムカメラの支持だ。もう何年も前からフィルムブームと言われているが、ブームなら世の中の熱が冷めれば人気に翳りも出てくるもんだけど、フィルム写真とフィルムカメラについては爆発的に増えてはいないかもしれないが、急激にブームが去っていく気配もまた無い。ひとつのジャンルとして根付きつつあるとさえ感じる。

ライカのフィルム機M6の復刻はちょっと特別な事象としても、国内のペンタックスもフィルムカメラプロジェクトを開始するとなれば、フィルム写真とフィルムカメラがカメラ産業に刺激を与えるレベルで無視できない存在になっていると言えるんじゃないだろうか。採算が合うかどうかは分からないけど、傍観してはいられない現象なわけである。

ちなみに、フィルムカメラが人気だという記事を見ると、大抵「写りすぎないエモさがいい」といったニュアンスが若い人たちの声として語られていたりする。これは実際によく写らないということじゃなくて、スマホカメラのペタッとした味気ない描写に対して、フィルム写真のそれは「雰囲気がある」ということなんだろうと思う。

そう、多くの普通の人にとっては、むしろスペックという数値よりも「雰囲気」が大切なのである。いや、ほとんどのひとが世の中のあらゆることを無意識に「雰囲気」で判断していると思う。好きとか嫌いとか、気持ちいいとか気持ち悪いとか。雰囲気とは抽象的であやふやだとかじゃなく、雰囲気こそ人の心を大きく揺さぶるものさしだと思う。

実際、カメラを趣味にしている僕も誤解を恐れずにいえばスペックにはさして興味はなく、カメラにも、そして写真にも雰囲気をいちばん求めてるし、それが写真描写とカメラに惹かれるいちばんの要因だったりする。「雰囲気」というと、なんか専門性に欠けるいかにもアマチュア的思考と思われがちだけど、その「雰囲気」の重要性が再認識され始めてるんじゃないかと、ちょっと感じたりしているのである。

この「雰囲気」こそ、その中身を紐解くことはむずかしいが、僕はそこに「クラシック」性のようなものがヒントとしてあるんじゃないかと思ってる。人の脳がクラシックと感じることが、写真やプロダクトに人間味やゆらぎ、曖昧さなどをまぶしていくような感覚。そして、それがこの超デジタル社会において、必要不可欠になりつつある気配。

そうやって考えていくと、カメラや写真がスマホカメラでは撮れないプロ的思考に進化していくのと並走して、その真逆とも言える雰囲気重視の写真とカメラの方向もあるんじゃないかって。そして、むしろこの後者の在り方のほうが、世の中の空気をちょっと豊かなものにするんじゃないかって。

と、特に考えがまとまっていない状態で書き始めてここまで好き勝手に綴ってきたけど、2023年の始まりの日だし、こういう脳みその中の思考を燻らせながら、なんとなく今の考えを記しておくのもいいかなと思って書いてみた。

世の中がなんとなく白黒はっきりさせようとする風潮があるなかで、もう少し曖昧さというか隙というか「雰囲気」みたいなことに注目してみる。写真やカメラがそんなことを体現してくれればいいなと個人的には思っている。(たぶん、この話は今後もつづく。)

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