Leica M-P typ240

ほんの僅かにだけど、ブラックペイントが剥がれてきたのがうれしい。

Leica M-P typ240, Summicron 50/2 1st

僕がM型デジタルの中でM-P typ240を選んだのは、街中でスナップを撮るのにとにかく目立たないフォルムがいいと思ったことが大きい。いや、すべてかもしれない。ライカブランドの証である赤バッジを廃した真っ黒の正面デザインはそれほどまでに重要だ。けれど、もうひとつ大きな要因がある。それが「ブラックペイント」であること。

いわゆるブラッククロームとブラックペイントは違う。ブラックペイントはまさしく「塗り」で、昔のフィルムライカのように真鍮のボディに黒色のペイントが施されている。つまり、どんどん使い古していけば往年のフィルムライカ機のようにやがてペイントが自然と剥がれ、内側から真鍮の地肌が見えてくる。これをじぶんの手でやってみたかった。

とはいえ、現代のブラックペイントだからか、革ケースも何も使わないようにしているのになかなかペイントは丈夫で剥がれてくれない。かといって無理やりペイントが剥がれるような荒い使い方も何か反則技のようでやりたくない。これはもう相当気長に付き合っていくしかないと思っていたんだけど、ここにきてようやく、たった二箇所だけど針穴ほどの小さな部分ではあるけど、ペイントが剥がれ黄金色の真鍮が見えてきたんだ。右手親指の背面グリップの部分と、軍艦部左上の丸くラウンドした角の部分。ほんとに極々小さな黄金色の埃のように見える点ではあるんだけど。

けれど、一度剥がれ出すとそこから剥がれやすさが増していくんじゃないかという期待感はある。こうなってくると単に造形を眺めて楽しむだけでなく、ブラックペイントの剥がれ具合を日々確かめる楽しみができる。僕の場合は古いカメラやレンズの少しやれたヴィンテージ感が好きだし、できればカメラやレンズは古びて見えたほうがかっこいいと思っている。新しいカメラが欲しいというより、いい感じにくたびれた、使い込まれたカメラが欲しい。それもできればじぶんが使い込んだうえでできあがるヴィンテージ感が理想だ。それがほんの、ほんの僅かではあるけど見えてきた。これがたまらずうれしい。

まあ、使い込まれたブラックペイントのクールなフィルムライカと比べるとなんとも綺麗すぎてまだ小っ恥ずかしいのだけど、それでもじぶんがブラックペイントを剥がしたと思うとなかなか感慨深い。ここからどんな風に剥がれ方が進み、加速するのかどうかは分からない。けれど、大きな大きな日々の楽しみがひとつ増えた感じ。M型デジタルもどんどん新しいタイプが発表され続けてるわけだけど、この「ブラックペイントを剥がす」という楽しみにおいては、新登場のライカたちに目が向くこともなく、財政的にもうれしいポイントになっている。

M-Pの鼻先にはオールドレンズ たちが装着されてるんだけど、その年輪と同じような佇まいになったらそれはそれはたまらないと思う。あと何年かかるか分からないし、その時このtyp240が現役で使えるカメラかどうかも分からないけど、僕はとことんこのM-Pを使い倒し、いい年のとり方をしたブラックペイントボディに磨き上げていけたらなと思う。手に吸い付くような相棒になるまで。

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