Nikon F6は、僕の想像を大きく超えて素晴らしかった。

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先週の初めにNikon F6を手にして、昨日初めて屋外へ連れ出して試し撮りをしてみた。といっても現像はまだだから、このブログ記事は、まずは使用感ということで。

で、F6だけど、これだけは最初に言っておこうと。このカメラは魔物です。それくらい他のフィルムカメラとは違うし、デジイチとももちろん違う。このカメラにしか手にできない到達点へ達したカメラです。だから、このカメラを手にしたら、もう魔法がかかったように虜になります。それでもいい、フィルム代や現像代という決して安くはない餌をしっかりコイツに与え続けてあげられる人は、手にしたほうがいい。絶対手にするべき。そんな孤高のカメラです。

昨日はまず朝の愛犬との散歩に、F6を首からぶら下げて出かける。うちの愛犬はとにかくやんちゃなんで、彼を連れての撮影はまずマニュアル撮影はムリ。だから、いつもはNikon DfにAF-S 50/1.8Gをつけて、片手で散歩カメラしているんだけど、F6はフィルムカメラながらAF、AEで撮れる現代的カメラで、2004年の発売以降、今も現行機種として販売されているフィルムニコンのフラッグシップ機、もちろんDf同様に片手で散歩カメラできる。フラッグシップ機を愛犬の散歩に持ち出すのもどうかと思うかもしれないけど、このF6は前機種のガチガチのプロ機F5と比べてフレンドリーにチューニングされた機種でもあり、見た目もモータードライブを切り離したコンパクトで普通のカメラ然している。つまり、僕のようなアマチュアでも使いやすいことを意味する。見た目はどうかしたら普通に見えるけど、中身はNikon渾身の技術が詰まったフラッグシップ機、まさに羊の皮を被った狼というやつなのである。

僕はこのSS 1/8000秒で正確無比と言われる内蔵露出計、AF性能を活用しようと、レンズはAi AF 50/1.4Dを常用レンズにした。いわゆるDレンズというやつで、絞り環もついているからMFとしてNikon F2やFEにも使える、僕の中ではベストチョイスだ。そうしてF6と50/1.4Dとで初めてファインダーをのぞいてみる。明るい、とにかく明るい素晴らしい眺めだ。早朝の散歩道の明るさでも驚くほど被写体を綿密につかまえることができる。ピントもサッと決まる。まるで、現行のデジイチのようなまったくストレスのない軽快さだ。そして、おもむろにシャッターを切る。ん?これは…なんて美しいシャッター音を奏でるんだと、僕は軽い衝撃を受ける。いや、軽くないな、かつて味わったことのない衝撃と言っていい。それくらい、F6のシャッター音は別格だ。文字では表現できないほど官能的でソソる音なんだ。誤解を恐れずにいえば、この音だけで所有する価値がある。上品なんだけど力強さも持ち合わせたような衝撃が手と脳にも伝わる。このカメラはとんでもないクオリティだと感じたのは、この最初のシャッター音を聞いた時だった。

もちろんフィルム送りは自動だ。ついでに言うなら、F6はフィルム装填もフィルムを入れて蓋を被せるだけで自動で1枚目までフィルム送りしてくれる。これは、ふだんすべてアナログ手仕事でフィルム装填している僕には密かな驚きだった。そして、フィルムを撮り終えるとこれまた自動でフィルム巻き上げまで行ってくれる。それもかなりの高速で瞬時だ。これがプロのフィルム交換のスピードなのかと驚嘆する。フィルムを詰めると自動的にISO感度を識別してセットされるのも、僕にはずいぶんとハイテクに見えた。その他、AF機能とか現代のデジタルカメラにある基本的な機能はほぼすべて普通に搭載されている。そういうことを考えると、僕のようなビギナーこそこのF6は最高に使いやすいフィルムカメラなのかもしれない。

あとTwitterの中のF6ユーザーの人が言っていたけど、F6のフォルムやボタンなどの配置はすべて人間工学に基づいて設計されているから、とにかくよく手に馴染み、ひとつひとつの操作感がエモーショナルで、からだの一部のようにしっくりくる。からだに吸い付くような使い良さといえばいいだろうか。シャッター音だけじゃなく、フィルムの巻き上げ音や裏蓋の開け閉め音まですべての音が心地いいようにチューニングされている。そんなところに最高の技術とコストを投入するF6とは、やはりちょっと別物なのだ。

このブログの写真にあるように、背面にはデジイチのような大きなモニターではなく、小ぶりな液晶表示がある。軍艦部にも液晶を持ち、メニュー設定や露出確認も実にスマートにできる。いやもうほんと、苦言を呈するところがひとつもない。そんなことよりも、このカメラが伝えてくるフィルムニコン最期のフラッグシップ機としての誇りと威厳こそが、このカメラの存在意義と最高性能を物語っている。僕はそう思った。激しく。

他の所有カメラでは、僕はふだん付属の機種番号が入ったストラップは使っていないんだけど、このF6にはあえて「F6」という文字の刻まれたストラップを使うことにした。なんというか、そういうNikonの誇りに対する敬意というか、周囲の人にもF6を使っていることがあえて分かることが大事だと思ったんだ。決して贅沢な作りのストラップではない付属品ではあるけど、そういうことも含めてF6の魔力に引き寄せられる、そんな感覚なんだ。

まだまだとても書き足りないけど、まだ現像にも出していないから、この続きはまたおいおいこのブログで。僕はこのF6をキタムラのショーケースで見かけて中古で手に入れた。レンズも合わせると決して安くはなかったけど、それでも新品で30万円するフィルムニコン最後のフラッグシップ機が三分の一程度の価格で手に入るのは、恵まれているとしか言いようがない。昨夜、富士フイルムからX-TLAの販売終了のニュースが流れてきて、あいかわらずフィルムの未来は不安ではあるけど、だからこそ僕らはしぶとくフィルムを使い続けるしかないし、残されたフィルム時間を濃く太く生きたいと思うんだ。それには、このF6がもってこいだ。これ以上のフィルム機はない。それほど史上最高のカメラなんだ。

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