手荒く扱えるカメラを何台か持っておくといいよね。

RICOH 500 Deluxe, RIKENON 45/2.4

僕にとってはこのRICOH 500 Deluxeもそうかな。フードまで全身艶かしいスチールで覆われたボディはいかにもハードに使えそうだし、僕もこれならガシガシ街へ連れ出して使えそうと思って手に入れてるから、やれ必要以上に大事に取り扱わなきゃとかそういう気にはならない。

これがさすがにLeica M3やLeica M-P typ240あたりだと、いかにも精密機械といった佇まいであることもあって、ラフには使ってもガシガシと無造作に使うには多少気がひける。埃とか雨とか、そういう状況下からは最低限守ってやらないとカメラとして長持ちさせられない気がするのだ。実際はそんなヤワじゃないんだろうけど、なんとなく気分的にね。

僕は出張なんかも比較的多いから、旅行鞄の中なんかにカメラを入れて、鞄をコロコロと地面に転がして移動したりするんだけど、そういう時はガシガシ使えるカメラの出番だ。そうだなあ、僕の中でそういう出番のカメラとしては、このRICOH 500 DeluxeにKonica C35、Bessa-L、Retina typ117、Rollei35、PEN EE-2あたりがコンパクトさも含めてそうかな。デジタルだとRICOH GR、Leica X2、オールドレンズ機としてはFUJIFILM X-E2なんかがそうだ。

このあたりのカメラなら、鞄に入れずとも一日中、首から下げたり、ハンドストラップで手に持ったまま移動しても気にならない。つまり、少しぶつけてもいいし、あちこちに置いて底が擦れても別にかまわない。それよりも機動性重視と思えるカメラたちだ。価格的な価値ということでも特になく、そのカメラたちのパーソナリティによるところが大きいと思う。本当はね、ブラックペイントのLeica M-Pをもっと酷使して真鍮が見えるくらい使い古したいんだけど、余計な振動だけは与えないようにそこは少し気を使ってる。

RICOH 500 Deluxe, RIKENON 45/2.4, Fujifilm 業務用100
RICOH 500 Deluxe, RIKENON 45/2.4

このRICOH 500 Deluxeは最近手に入れたばかりで、一度家の近所で試し撮りしてみたんだけど、想像以上にキレのある描写で手ごたえを得たんで、こんどはいよいよ街撮りスナップに連れ出したいなと。このワイルドな見た目のトリガー巻き上げも、やっぱり速写が似合う街中向きだ。僕は新しいカメラを手に入れた時は、内部の油を滑らかにする意味でけっこう集中して使ってみる。RICOH 500 Deluxeもフィルム数本を立て続けて使って、本当の意味での試し撮りを終え、本調子へ持っていきたい。それにしても、この金属の塊のカッコよさよ。カメラは見た目がとても大切だ。撮影者をソノ気にさせるという意味においてね。

 

僕が人生に全力でカメラをお勧めする理由。

RICOH 500 Deluxe, Rikenon 45/2.4

前提として、いま人生を謳歌しまくって満足しきっているという人には、それほど強くお勧めする必要はないかもしれない。でも、どちらかというとなんか毎日決まった生活動線の中を行き来するだけで、特に楽しいことも起こらないとか、なんか新しい刺激のあることを始めたいとは思うけど、何を始めていいのか分からないとか、そういうじぶんを停滞してる、漂流してるとか思う人にはうってつけの話かもしれない。そう、カメラと生きようという話である。

人生に刺激を与えることがカメラに限定されるのはいささか言い過ぎではないかとも言われそうだけど、実際カメラという道具は人生のあらゆるシーンにフィットしてくれる。例えば子どもの生まれたお父さんであれば子育てが忙しくて趣味どころじゃないかもしれないけど、カメラがあれば子どもの成長を撮るという、親として子どもにしてあげられる宝物を残しつつ、じぶんもカメラと遊んで過ごすことができる。お小遣いにうるさい奥さんだって、子どもの写真を撮るためのカメラを悪くは言わないだろう。

例えば、少し歩くのが億劫な通勤時間でも、カメラで移動の途中をスナップ撮影なんかして過ごせれば、朝、家を出て仕事へ出かけるのも「さて、きょうもスナップ撮影へ出かけるか!」みたいな、ちょっと遊び心を抱いて街中へと繰り出すことができる。例えば、疲れた週末も、家の中でじめっと過ごすんじゃなくて、風とか光とか季節の移り変わりを感じながら散歩カメラのひとつでも味わおうという行動力がどこからともなく湧いてきたりする。カメラの適応力というか包容力はとんでもなく高いんだ。人生のあらゆるシーンに見事なくらいフィットしてくれる。

こんな趣味と実益を絵に描いたように両立できる趣味なんてそう無いんじゃないか。いや、趣味とかいうレベルではないかもしれない。カメラは撮る時も楽しいけど、撮った後も写真の仕上がりを楽しむことができるし、できあがった写真はこうしてブログなんかにも利用できるし、プリントして誰かにプレゼントすることだってできる。撮る前だってそうか。機能美、造形美豊かなたくさんのカメラの中からじぶんにあった運命のカメラを探したり手入れしたりするのは至福だし、レンズという幾通りもの表情の変化を比べたり、極めたりすることができる。控えめにいっても、こんなに人生のあらゆるシーンを豊かに彩ってくれるモノを僕はほかに知らない。

デメリットはモノである以上、そこそこコストもかかるということ。カメラを買う資金がいるし、フィルムカメラならフィルム代や現像代、データ化代なんかがかかる。でも、それも車を趣味にしたり、稀少なコトを趣味にするのに比べれば、ずいぶん庶民的で現実的な価格で楽しむことができるはずだ。なにより、カメラなら車で言うところのF1カーのようなフラッグシップアイテムを素人愛好家でもどうかしたら入手できて、年に数回とかじゃなくて、毎日使って楽しむことができる。だって実用品だからね、そこは使ってナンボという日用品ですらあると思う。画像はスマホでも撮れるけど、思い出はカメラで撮るとやっぱり一味違ういい感じのワンシーンになるし、それなりにオート撮影もできるカメラならアマチュアでもけっこう自画自賛できる写真が撮れたりもする。もう僕に言わせれば、かけるコストを数倍上回るリターンが得られるのがカメラなのである。

あと、カメラがいいと思うのは、やはりクリエイティブなモノということ。写真は一枚として世界に同じものはない。撮る時間帯や場所、その日の季節や天候でオリジナリティのある人生の作品をこしらえることができるのである。そりゃ楽しいはずだと。だから僕はカメラというアイテムを全力でお勧めする。それも単に趣味としての時間限定の楽しみ方ではなく、人生すべてに関与する、人生全般を豊かにする装置としてのカメラをとにかく一人でも多くの人へお勧めする。だって、僕自身がそれを立証するかのように、カメラによって人生が豊かになったと実感する一人だから。高価なカメラなんて持つ必要は一切ない。飲み代何回分かを貯めたお金を握りしめて中古カメラ屋をのぞけば、そこがワンダーランドの入り口のようなドキドキ感を得ることができるんだ、

週末もよし、平日もよし。一人でもいいし、誰かと一緒でもいい。カメラならあらゆるシチュエーションにうまくはまってくれる。そんな妙に人生にフィットするカメラの意外なおもしろさを、少しでも多く人に感じてほしくて、きょうもまた懲りずにこうしてブログを書いている。カメラというものをそういう存在と考えたことがなかったという人がいたら、騙されたと思って一台のカメラを手に入れてほしい。できれば少々手のかかる古いフィルムカメラなんかがいい。使い方を調べたり、そのルーツを探ったり、とにかく手間のかかる子がいい。僕ら人間は、考えてみると簡単にできてしまうことより、少し手のかかるくらいのほうが達成感というご褒美が得られるんだ。どうだろう、少し人生にワクワクする感じが芽生えてきただろうか。カメラを持てば変わると思うなぁ、その昨日までのきょうが。これだけ何をやっても飽きやすかった僕がこれだけハマってるんだから、それはけっこう保証できると思う。さあ、できる範囲の軍資金の用意でいい。テレビやツイッターなんかで世の中に顔の見えない文句を言ってるくらいなら、カメラを持って外へ出かけようじゃないか。そして、難しいことを考えずに夢中でシャッターを切ろうじゃないか。そうすると、一枚や二枚、とんでもなく心が震える写真が撮れると思うよ。世界にたった一つしかない、とんでもなくクリエイティブなものが。

巻き上げは底部トリガー式。そこに惹かれた、RICOH 500 Deluxe。

RICOH 500 Deluxe, Rikenon 45/2.4

新たに僕の手元にやってきたレンジファインダー機、RICOH 500 Deluxe。その最大の特徴はなんといってもこの底部に突き出したトリガー式巻き上げ機構だろう。この当時のカメラを多数知る人にはそれほど珍しいものではないのかもしれないけど、僕自身は初体験。その綺麗なボディにはもちろん惹かれたけど、購入の最後の決め手になったのは、やはりこのトリガー(引き金)だった。

このカメラの概ねの特徴や操作方法はカメラ屋さんで聞いてきたんだけど、一応調べてみたところ、このカメラの登場は1958年。当初あった、RICOH 519という機種に固定装着されていたリケノン45/1.9(富岡光学製)をもっと安価で提供するために、45/2.8のRICOH 500、さらにその後 45/2.4のRICOH 500 Deluxe(日東光学製)が発売されたらしい。

フラットでシンプルな上部

レンズシャッター機で絞りやシャッタースピード、距離合わせはすべてレンズ部にあり、さらに本来軍艦部にあるはずの巻き上げレバーが底部に付いたんで、軍艦部は突起がほぼ無くフラット。このカメラがシンプルに見える理由は、全体のデザインだけでなく、物理的にもボディがフラットであることが大きい。

トリガーを畳んだ姿はすっきりしている。

で、とにかくこの底部トリガー式の巻き上げ動作が気持ちいい。ジャキッといかにも機械を動かす音を奏で、感触も実に気持ちいい。これならギミックだけではなくある程度速写に生かせそうな気がする。その手ごたえある巻き上げに比べると、シャッター音はレンズシャッターらしく「チッ」とかすかな音しかしない。まさにKonica C35やRollei35と同じような静かさで、サイレントシャッターと言っていいだろう。

RICOH 500 Deluxe, Rikenon 45/2.4

このカメラにはほぼすべての純正パーツが付属していた。純正革製ケース、純正レンズフード、純正レンズフィルター(モノクロ用)。これだけ綺麗に揃っているモノはなかなか出てこないと店員さんも言っていた。僕もそう思った。最近、立て続けにカメラを増やしてしまってるけど、こんなモノとは今後出会わないだろうと思い、決心して連れて帰った。

RICOH 500 Deluxe, Rikenon 45/2.4

純正ケース、つまり革ストラップは付いていたんだけど、僕はカメラは裸でガシガシ使う派なので、別途、常用ストラップAN-4Bと三角リングをAmazonで注文した。届くまでしばらくは試し撮りはお預けかな。待っていられるかな笑、自信ないけど。

考えてみると、ずっとほぼNikon派だった僕がひょんなことからPentax SPを手に入れて以来、「なんだ、Nikon以外の国産カメラもいいじゃないか!」という、なんだか呪縛から解かれたかのようにいくつかの他メーカーのカメラを入手するに至っている。そうして思うのは、フィルム時代の日本のカメラ産業はほんと豊かだったんだろうなということ。夢が詰まったことが手に伝わってくるカメラたち。いま再び僕の中にフィルムカメラブームがやって来ているんだ。